タバコとコーヒーは2つで1つ。コーヒーを飲むからタバコが美味くなるのであり、タバコを吸うからコーヒーが美味くなるのだ。ゆえに、タバコを吸えない店でコーヒーを飲む意味がない……と思っている喫煙者は多いかと思う。

私も以前はそう考えていた。なんなら、コーヒータイムを最大限に楽しむためにタバコを吸い続けていたと言っても過言ではない。しかし、禁煙外来の門を叩いて約1年半が経過した今、かつての自分の価値観が大きく変わったことに自分でも驚いている。

タバコなしでのコーヒーが美味いのだ。タバコとコーヒーは2つで1つじゃなかった……!


そもそもタバコを吸わない人からしたら、「なに当たり前のことを言ってるんだ!?」という感じかもしれない。しかしながら、その当たり前のことが、タバコを吸っていると分からなくなるのだ。

「コーヒーとタバコは合う」と感じてしまう。いや、合うこと自体は間違っていないのだろうが、その気持ちがいつしか「どっちかが欠けたらダメだ」という思い込みに変わる。

こうなると、タバコをやめることは「コーヒータイムの楽しみ半減」となってしまい、なかなか禁煙に足を踏み出せない。極端な話、「禁煙=人生の楽しみを減らす行為」と考えてしまうからだ。そんな、かつての私のような喫煙者にもう1度言いたい。

タバコなしでのコーヒー、最高に美味いぞと。タバコなしで味わうコーヒーとスイーツの相性、ヤバいぞと。コーヒー単体でも、タバコ吸いながら味わってた時と全然違うぞと。


……偉そうに言ってしまったが、かく言う私自身、タバコを吸わなくてもコーヒーが美味いことに気づいたのはごく最近のこと。禁煙外来に通ってからの約1年半、コーヒーを飲んだらタバコを吸いたくなりそうで怖かったため、紅茶をよく飲んでいた。コーヒーを飲むことがあっても、カフェラテばかり。

それがつい先日。「もうそろそろ大丈夫だろう」と思い、約1年半ぶりにブラックのコーヒーを飲んだら……


先に述べた通りである。私からしたら、価値観がひっくり返ったのだ。


・むしろ逆だった

こうなると、喫煙していた頃の思い込みが不思議で仕方がない。何だったのだろう、コーヒーにタバコが不可欠というアレは。むしろ、タバコを吸うことでコーヒーをマズくしていたようにさえ感じる。あぁ、なんて無駄なことを。タバコを吸いながら「美味しいコーヒーの淹れ方」などとググっていた過去の自分を殴りたい……。

でも、ちょっと待て。ということは、喫煙者の中にはかつての私と同じように考えている人がいるはず──と思ったので、本記事を執筆した次第である。タバコを止めたくても止められない人にとって、少しでも役に立ったらうれしいなぁ〜と思いながら。

執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.