美少女ゲームのジャンルに「泣きゲー」というものがある。いわゆる萌えやエロが主体なのではなく、シナリオで泣かせるゲームだ。私(中澤)は泣きゲーが大好き。正直、エロ系のシーンとか全スキップである。見たいのはエロではなく登場人物の人生なのだ。

さらに言うなら、私にとって美少女泣きゲーの主役は主人公でも美少女でもない。いきなり、一休さんのようなことを言って申し訳ないが、クリエイティブな頓知で解決するつもりはないぞ。美少女泣きゲーで最も重要なもの……それは男友達だ。

・シンクロ

これは物語を読む時に、誰に感情移入しているかにもよると思う。今までの人生で自分が主人公だなんて感じたことがない私は、まずどんな物語でも主人公には感情移入できない。もちろん、ヒロインに感情移入というのも無理だ。

そこで私が一番しっくりくるのが男友達なのである。泣きゲーの男友達は、主人公と色恋沙汰に無関係である場合が多い。主人公とヒロインが2人でこそこそフラグを立てている間、男友達は春が来ても気づかず冬眠するカエルのように蚊帳の外である。ああ、まるで学生時代の私ではないか

・泣きゲーの男友達こそ真の男関係

しかも、シナリオを書いているのがほぼ男のためか、泣きゲーで描かれる男の関係は妙にリアリティーがある。ゲスな部分とアホな部分の加減がちょうど良く、思わず「あるある」と思わされるのだ。

普段は妙にリアルな悪友。しかし、泣けるのはそんなダメ悪友が男を見せる時だ。時として泣きゲーの男友達は思いもよらない活躍で主人公を助ける。その時に思うのだ。「私もできる……できるはずだ……いや、やりたい!」と。男泣きである

・激アツキャラトップ3

気づけば涙。胸が熱すぎて。男が理想とする男の絆がそこにあるのだ。そんな泣きゲーの男たちの中で、激アツすぎるキャラのトップ3は以下の通り。


3位:『リトルバスターズ!』井ノ原真人(いのはらまさと)
Keyの泣きゲー『リトルバスターズ!』。登場する男性キャラクターは全員熱く、特にゲームをプレイした人なら、棗恭介(なつめきょうすけ)を選ぶ人が多いかもしれない。しかし、私にとって恭介は最初から最後まで主人公属性が強すぎる。

それに比べて、真人は徹頭徹尾3枚目のアホキャラだが、別れのシーンではそんな真人が一瞬だけ違う表情を見せる。これが万感の一瞬で、私が本ゲームで一番泣いたのはこのシーン。正直、今も書きながら泣いている。男が憧れる男だ。


2位:『車輪の国、向日葵の少女』磯野一朗太(いそのいちろうた)
男たる者、一度は友の絶体絶命のピンチを救いたいものである。そういう意味で申し分ない男っぷりを見せるのが『車輪の国、向日葵の少女』の悪友・磯野だ。

普段は掴みどころのない昼行燈である磯野。しかし、クライマックスの熱さだけは火傷するレベルだ。主人公の「お、おのれ、磯野ーーーーーーっ!!!」というセリフが2人の関係性が感じられて非常に良い。


1位:『CLANNAD』春原陽平(すのはらようへい)
もはやレジェンド。私が泣きゲーの男友達が好きになったキッカケも『CLANNAD』の春原陽平である。主人公・岡崎朋也 (おかざきともや)の不良仲間である春原。基本的にちゃらんぽらんで3枚目なのだが、春原が真剣な顔してる時は確実に名シーンがやって来る。

中でも、退部したサッカー部の部室に殴り込んで「芽衣(妹)を泣かせるんじゃねえーー!!」と叫ぶところは屈指の名シーンだ。その後の岡崎との殴り合いからの回想までずっと涙が止まらない。これぞ、男が理想とする友情。ヘタレだがやる時はやる男、それが春原だ。不動の1位である。


──いずれも美少女ゲームの中では名高い作品からの選出となったが、これは裏を返せば、それだけ男友達が重要なポジションということの証明ではないだろうか?

とは言え、もちろん、このランキングへの異論は認める。なぜなら、私自身、ナイスな男友達が登場する美少女ゲームをもっと知りたいから。というわけで、この3人を超える男友達が登場する泣きゲーを知っている人はぜひ異を唱えていただきたく思う。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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