自粛生活が始まって久しいが、愛するラーメンのことを考えなかった日はない。いかに自宅に巣ごもりしつつ美味しいラーメンを食べるか、それが目下の課題である。30年間生きてきて一番ラーメンと向き合っているように感じる。壮年期ではなくラーメン期に突入したのかもしれない。

そんな折、ネット上で心躍る情報を見つけた。二郎インスパイア系として有名なチェーン店「野郎ラーメン」が、Uber Eatsを通じて配達を行っているというのだ。以前から同店のラーメンが気になってはいたが食べたことがなかったので、この機会に初体験してみることにした。

公式サイトを見てもわかるように、「野郎ラーメン」は東京を中心に展開している。したがって配達エリアもそれに準ずる。店舗によってはラーメンではなく汁なし麺メインの配達メニューとなっている場合もあるが、デリバリー自体は概ね対応しているようだ。

筆者が最寄り店舗のUber Eatsサイトを覗いたところ、ラーメンや汁なし麺のみならず、つけ麺、チャーハン、カレーなどの多様なラインナップが並んでいた。とはいえ、初体験なので背伸びはせず、オーソドックスに「豚骨野郎ラーメン(890円)」を注文。

胸弾ませる筆者の自宅に到着した商品は、麺、具材、スープ、タレの4点にパッケージ分けされていた。これらが組み合わさってラーメンになると思うと、そのどれもが愛おしい。

付属の説明書きに従って、まずは麺の容器にスープを注いでいく。

よく麺をほぐしたのち、次は具材を投入するのだが……

その具材がしこたま多い。パッケージを上から見下ろしていた時はさほどボリュームを感じなかったが、いざ蓋を開けると騙し絵かと思うレベルで中身が詰まっていた。

モヤシを主勢力とする野菜群がひしめき合う中に箸を差し入れ、せっせと移し替える。

具材を投入し終える頃には、指先にうっすらと疲労感が溜まっていた。そして目の前にちょっとした山が出来上がっていた。あとはパンチ汁と呼ばれるタレを回しかけ、レンジで温めれば完成である。これほど山なりの食べ物をレンジするのは初めてかもしれない。

ともあれ、完成したラーメンはたまらない魅力を放っていた。一面を覆うモヤシで麺もスープもほぼ見えないが、これでいい。これこそが二郎系の基本フォームである。

そんなたっぷりのモヤシにがっついて、大口を開けて頬張った瞬間、衝撃に貫かれた。弾けるような、みずみずしいシャキシャキ感だった。

この新鮮さはすごい。とても配達してきたものとは思えない。知らないうちに我が家のドアの前で料理していたのではないかと疑ってしまうクオリティだ。

量も質も優れている具材に加えて、スープもまた美味しい。二郎の風味がありながら、タレの効果で二郎よりも醤油の成分が強い。が、そこが味覚にグッとくる。

麺の方も本家の二郎とは異なり、ゴワゴワ感を抑えたソフトめの仕上がりだ。二郎インスパイアであっても、二郎そのものではなく「野郎ラーメン」なのだという個性の主張が受け取れる。

具材、スープ、麺……それぞれにしっかりと引き込まれる。しかしやはり、最もインパクトがあったのは具材、とりわけモヤシだ。大ボリュームにもかかわらず、するすると胃袋に入り込んできた。それから数時間は身体の火照りが収まらなかった。完全に虜である。

というわけで、初めての「野郎ラーメン」体験は好印象と言うほかない結果に終わった。もし筆者と同じようにラーメン好きで「野郎」未体験の方がいたら、デリバリーを利用してみることをお勧めする。きっと琴線に触れるはずである。

いずれ時世が落ち着いたら、ぜひとも実店舗にも足を運びたいものだ。ただのラーメン期ではなく、「野郎ラーメン」期に突入してしまったのかもしれない。

参照元:「野郎ラーメン」オフィシャルサイト
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.