芸能人も利用することで知られるアパホテルは、 “ビジネスとシティホテルのいいとこ取り” といった感じだろうか。寝るだけのために利用するのは少しもったいない……でも取材経費で泊まれたらメチャ嬉しい……個人的にはそんな立ち位置である。

当サイトはテレワーク2カ月目に突入。カラオケ店などを利用し仕事を行っていた私だが、それももう限界だ。カラオケ、飲食店、ネットカフェ等はバタバタと休業に追い込まれている。「誰にも迷惑をかけない作業場」を求める人はここ2週間で急増したのではないか。

ここへきてテレワークプランを実施するホテルが増えたものの、都心相場は8時間で4〜5000円ほどとややお高め。そこに今回アパホテルが打ち出したのは『4泊5日1万5000円』という衝撃のプランである。なにか落とし穴はないのだろうか? アパの人に聞いてみた。

・実質4泊7日!

アパホテルのテレワーク応援プランには2種類あり、まずは8時〜19時までの11時間利用可能な『日帰りプラン』が4500円(税込 / 一部実施していないホテルあり)。もうひとつが1万5000円(税込)の『5日連続プラン』である。

この場合「4泊5日」と表現するほかないのが悔しいところで、これは通常の4泊5日とワケが違うのだ。なんとチェックインは朝8時、チェックアウトは夜20時までとなっており、事実上は掟破りの「4泊7日」……トータル108時間をホテルで過ごすことが可能なのである。


今回『アパホテル 新宿歌舞伎町タワー』でお話を聞かせてくれたのは、アパホテル首都圏地区の統括支配人・村田さんだ。ときに4泊7日って通常料金だとおいくらなんでしょうか?


村田さん「今ってイースター(西洋の祝日)やソンクラーン(タイの旧正月)の時期でして、例年はそういった国からのお客様が非常に多いです。アパホテルはシングルのお部屋を通常 “1万8000円から” でご案内しているのですが、本来この時期はそれ以上の価格だとは思います」

──ってことは4泊で最低でも7万2000円以上ですよね。初日と最終日に関しては?

村田さん「アーリーチェックインは1時間につき1000円頂戴しています。当ホテルは通常15時チェックイン、11時チェックアウトですので……」

──7時間+9時間で1万6000円……つまり本来なら合計8万8000円以上のプランってことですね! スゴイ!

村田さん「そうですね。やはり各企業がテレワークを推奨しているという経緯がありますので、そういった方々に利用していただこうという感じで打ち出させていただきました。我々もお部屋に空きがありますしね……全店舗で実施させていただいています」


・ホテル業界の深刻な現状


村田さん「通常アパホテルは都内であれば100%を超える稼働を頂戴していたんですけども、3月度に関しては半分まで下がりました。4月はまだ途中ではありますが、さらにそれを下回る数字が予想されています」



──う〜む……でも50%でも、よそに比べれば多分マシなほうですよね?

村田さん「そうですね。同業他社の方からは、さらに厳しい数字をうかがっています」

──現在どういった層の方が宿泊されているんでしょう?

村田さん「旅行はほとんどないですね。地元企業の方のテレワークプラン利用が、多いところでは日に10件ほどあったりします。お部屋で作業や、会議もされているようです。そういったビジネス利用が多いですね。あとは……やはり自宅で過ごすのが不安な方とかでしょうか。長時間通勤による感染リスクを防ぐため、会社の近隣ホテルに泊まる方もいらっしゃいます」


・忘れてたあのニュース

ここで話題は外国人観光客に関するものへと移行したのだが、村田さんの発言により話は一時脱線することになる。


村田さん「やはり客足が減ったのは春節(中国の旧正月 / 今年は1月24日〜)後からです。中国からのお客様が減ったのを皮切りに徐々に……といった具合で。まぁ、アパホテルにはもともと中国のお客様はほとんどいらっしゃらないのですが」

──えっ? 全然来ないんですか?

村田さん「ほとんどいらっしゃらないですね(サラリ)」

──…………なぜ???

村田さん「南京大虐殺はなかったと書いた書籍をホテルに置いていたところ、それを撤去するよう中国政府から言われたんですが、『事実に基づいて書籍の記載内容の誤りをご指摘いただけるのであれば参考にさせていただきたい』と伝えたら何の反応もなく。それ以来、中国本土からはアパホテルの予約そのものができない規制がかかっているんですよ。日本に来られてから予約されるぶんには自由なのですが」

──あの……その中国のくだりって、記事にしてしまって大丈夫なんでしょうか?

村田さん「あ、大丈夫ですよ(サラリ)」


おそらく日本人の多くが「言われてみればそんなんあったな」と感じるであろう約3年前のニュース……あなたは覚えておいでだろうか? 「別に隠してない」というアパの姿勢は清々しくて非常に好感が持てるものの、国レベルの話を論じる勇気がないため気になる人は各自ググるなどしてほしい。

それにしても驚くべきはアパホテルの通常運行が “中国人観光客がほとんどいない状態で稼働率100%超えだった” という事実だ。中国人観光客がいなくては成り立たない観光業も多いであろう昨今……恐るべき集客力である。

ただし欧米や台湾などの旅行客に関しては、他のホテルよりもシェアが高いという側面もあるようだ。都内のアパホテル全体でいうと外国人客の割合が40%くらい、新宿に関しては80%くらいが外国人なんだとか。しかし現状、外国人客の割合は1桁台にまで減ってしまったのだという。


・おトクだぜアパ


──テレワークプランも十分おトクですが、他にキャンペーンなどは?

村田さん「そうですね。アパ直からご予約のお客様を対象に『アパ連泊キャンペーン』というのがありまして、2泊以上のお客様に『アパ社長カレー』をプレゼントしています。あとは新規開業したホテルのみなんですが『全額返金キャンペーン』を実施していますよ。対象ホテル1日10名です」

──今もですか?

村田さん「そうです。宿泊客の総数が減っているからチャンスですね(笑)」

──それはスゴイ……! テレワークプランの空室状況はどうでしょう?

村田さん「残念ながらかなり空きがあるので、問題なくご利用いただけるかと思います。現在ホテル業界は非常に打撃を受けている状況です。企業やフリーランスの方など、キャンペーンをぜひご活用いただければ嬉しいです」


・『5日連続プラン』は5月29日まで

アパホテルのテレワーク応援『5日連続プラン』は5月29日(日帰りプランは31日)までの期間限定だ。1日あたり約3000円で利用でき、電気や水道代も当然込み。おまけに歌舞伎町のド真ん中であることを考えれば、1人暮らしの家賃より安いという計算になってしまう。

自宅に机がない、ネットがない、子供がいるなど、様々な理由で多くの人がテレワーク難民と化している今……この機会に「いっそ宿泊」を検討してみてはいかがだろうか。

参考リンク:アパホテル公式サイト
Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.