私が人生で初めて入手した携帯型ゲーム機は、忘れもしない『キテレツ大百科 キテレツ斎救出大作戦ナリ』。「それゲーム機じゃなくてソフトでしょ?」と思ったあなたは平成生まれだろうか。これはかつて一世を風靡した『ゲームウオッチ』なるシロモノ……。

ゲームウオッチは “1ハードに1ソフトのみ” が組み込まれている仕組みで、昔はそれが普通だったのである。そして平成元年に満を持して、100%純粋ハード機『ゲームボーイ』が発売された。少年少女の受けた衝撃がいかばかりだったかは、想像に難しくない。

シリーズでお届けしている「レトロゲーム売上ランキング」であるが、正直に告白すると当初の企画に『ゲームボーイ』の名前は挙がっていなかったのだ。ところが……

・再び秋葉原へ

シリーズを通してお世話になっているのは秋葉原にあるゲームショップ『レトロげーむキャンプ』。意外にも高知県を発祥とするお店らしい。

実はファミコン編の取材に来た際、ここの責任者・田中さんが不思議そうな顔で「ゲームボーイは、やらなくていいんですか?」と尋ねてきたのである。ワケを聞いてみれば……


なんと「ウチで一番売れているソフトはゲームボーイかもしれないレベル」との回答が!


う〜ん、ノーマークだったぜゲームボーイ……! なにせスマホゲームアプリがここまでの盛り上がりをみせている昨今だ。大きくて白黒ガタガタ、おまけに電池がなきゃ動かない例の初代がそこまで人気だなどと、正直想像もしていなかった。

記者として見込みの甘さを反省しつつ、こうして私は改めて秋葉原を訪れた次第なのである。


・トップ5を発表

ノーマークだったとはいえ、私はゲームボーイをハチャメチャにプレイした世代だ。思い出のソフトたちがランクインしていることに期待しつつ、さっそく売上ランキングを聞いてみた。


田中さん「ゲームボーイソフトは他ハードに比べて在庫もありますし、個人的にはレトロゲームの中で1番おすすめですね。当店の売上1位は……言うまでもないですが、ぶっちぎりでコレです


1位:『ポケットモンスター』シリーズ

私は思わず「ええっ!?」と声が出そうになったが、記者としてのプライドがそれを辛うじて押し殺した。 “言うまでもなくぶっちぎり1位” は絶対に『マリオ』だと思い込んでいたからだ。


田中さん「タイトル別にするとトップ5が全部ポケモンになっちゃうので、 ”ポケモンシリーズ” が1位とさせてください」



──ですよネ!? やはりポケモンだと思っていました! それにしてもたくさんソフトがあるんですねぇ?

田中さん「初代ポケモンは赤・緑・青に分かれていますが、登場するポケモンが若干違うなどの他は基本的に同じ内容です」

──そういえば外国人が『ポケモン緑』を求めて来日するというテレビ番組を見たことがあります

田中さん「緑は日本でしか売られなかった色なんですよ。青は通販など限られた形での販売でした。レア度によって価格が違ってきます(取材時は赤1200円、緑2600円、青1800円 / 箱なし ・税抜)」

──そうですか……ポケモンがそんなに人気とは……

田中さん「当店では一番目立つ位置にポケモンコーナーを設置しております!」


2位:『ゼルダの伝説』シリーズ


──ウヒョー! 夢をみる島! コレは音楽がスバラシかったですよね!

田中さん「そうですね。根強い人気タイトルなのでこちらも “ゼルダシリーズ” とさせてください。ニンテンドースイッチが発売された時にゼルダの新作が出て、そのとき過去作品もドカンと売れました。『夢をみる島』のリメイクが出たときもまた売れて……何か動きがあると、そのつど売れますね」


3位:スーパーマリオランド

1位だと思っていたマリオがここでランクイン!


4位:テトリス

当時うちの祖母までプレイしていたテトリスは、やっぱりゲームボーイのイメージが強い。テトリスってテトリスでしかないんだけれど、たま〜にやりたくなるんだよね〜!


5位:ドンキーコング


田中さん「ドンキーコングにもシリーズ色々ありますが、1位はこれです。いわゆる “転がってくるタルを避ける” という、ベタなドンキーコングスタイルが誕生したのがこの初代なんですね」

──いやぁ、さすがゲームボーイ。超有名タイトルばかりでした! ……その他ランク外で、なにか注目ソフトはありますか?


田中さん「そうですねぇ。どういう需要なのか僕には分からないんですけど、『牧場物語』はメチャクチャ売れます。なんで? って感じですけど外国人もけっこう買います。国外では『ハーベストムーン』っていうタイトルらしいです。牧場物語系を探している人は、機種問わず多いですね」

──牧場? 初めて聞きました……この次にやってみます!


・元祖ポケモンと因縁の初対面

「1位だけプレイしたことがない」という、個人的には驚きの結果となったゲームボーイソフト売上ランキング。こうなっては当然その『初代ポケットモンスター』にチャレンジしてみるほかに選択肢はないだろう。

ゲームボーイ本体とともに、初代ポケモンの中で最もレアな『緑』を購入 。実は発売から24年が経過するこのソフトを初プレイすることは、私にとって特別な意味を持っていた。


そう、何を隠そう私は現在進行形で『ポケモンGO』をプレイ中。毎日最低でも2〜3時間はアプリを起動し、ポケモンGOに関する記事まで執筆するハードプレイヤーなのだ。

ただしポケモンGO以外のポケモンのゲーム、アニメなどには全く手を出したことがない。つまり「そもそもポケモンって何ぞや」等といった基礎知識を、私は全く知らぬままポケモンGOをプレイしているわけだ。今回ポケモンのルーツを少しは勉強できたら幸いである。

さっそくゲームを起動してみると……


画面暗っ!!!!!


小さくて白黒であることは重々承知していたが、それにしても記憶のソレより相当古めかしい。昔の子供はみんなコレで視力を落としたんだろうなァ……。

あっ! 主人公の住む街の名は「マサラタウン」! GO以外のポケモンに疎い私だが、かの有名な初代アニメ主題歌『めざせポケモンマスター』は知っている。確か歌詞に「マサラタウンにさよならバイバイ」とあったはず……。

やはり歌詞のとおり主人公は、マサラタウンにある実家を出てポケモン探しに行くようだ。でもアニメの主人公「サトシ」と彼とは同一でない模様……う〜ん難しい。やはりポケモンの世界観を理解するためにはアニメも観てみなくてはいけないな。

ポケモンGOと同様に「ポケモン図鑑コンプリート」がゲームの主軸である。フィールドへ出ればさっそくフシギダネ、ポッポ、コラッタ等といった、ポケモンGOにおいても「レア度ゼロ」なポケモンたちが登場だ。

しかし……

一体どうやってゲットするのか分からん……!

しばらくストーリーを進めるとようやくポケモンの捕まえ方を教えてもらった。お店でモンスターボールが買えることも判明したのだが……これがまたメチャ高い。

ポケモンGOの場合はゲーム開始直後から即ポケモンゲット可能状態だし、モンスターボールは捨てるほど手に入る。1発1発を大事にしてみて初めて、私はこれまでの贅沢三昧を反省した。

また、このように苦労して手に入れたポケモンには愛着がわくものである。「ピカチュウはホッペタに電気ぶくろを所有している」なんて情報もこの日初めて知ったぞ。

プレイしていて感じるのは、とにかくゲーム世界の住人たちが「ポケモンを大好きである」という点。強いポケモン、レアなポケモンをゲットするため、彼らは昼夜問わずアチコチを探す。捕まえたポケモンを育てたらトレーナー同士でバトルだ。


ってそれ……


私がリアルに毎日やってるヤツだよ!


つまり、この「ゲームボーイの世界を現実に置き換えたものこそがポケモンGOである」といえるのではないか!? この重大な気づきを興奮ぎみに周囲に伝えたところ「いまさら何言ってんだ」との反応ではあったものの……自発的に気づけたことは大きいと感じている。

確かに「ゲーム → アニメ → GO」というのが正しいポケモン順序だったのだろう。しかしGOから始めちゃった人だって、1度初代をプレイしてみれば新たな気持ちで街を歩けるはずである。

・今回ご紹介した店舗の詳細データ

店名 レトロげーむキャンプ秋葉原店
住所 東京都千代田区外神田3-14-7 新末広ビルC
時間 11:00〜20:00
定休日 無休

Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.