無印良品のレトルトカレー。種類は多く、値段もまちまち。公式HPの一覧によると、160グラムや200グラムで490円だったり、180グラムで290円だったり、少なめな90グラムで190円だったり。値段だけなら350円が一番厚い層だろうか? 何にせよ、レトルトにしては値が張るというイメージがあった。

人気だからウマい(食べたことはない)んだろうけど高いよなぁ。それなら松屋のカレー食うよなぁ。松屋のカレーこそが最強にウマくて安い……そう信じて生きてきたある日、私(江川)はこの世界の真実に気づいてしまった。おい、無印のカレーってコスパ高いんじゃないか?

・神の死

何度か買った覚えがあるというのに、なぜ今まで気づかなかったのだろう。コスパ最強と信じていた松屋のカレーは、単品だと370円(並盛)か410円(大盛)の2択


量がどれくらいなのかは不明だが、値段だけ見れば無印のレトルトカレーで主な350円のラインを超えている。確かに無印の490円のカレーは、松屋の大盛より80円も高い。だが、それがどうした。基本となる松屋の並カレー単品が、無印のベースラインっぽい350円より高いのだ。

「松屋のカレーは一番ウマくて安い」という概念は、私の中で、あらゆる神々よりも固く信仰されてきた。その信仰を支える「ウマい」と「安い」の2本柱のうち、片方が無印のレトルトカレーにぶち抜かれたのだ。もうこれは神の死に等しい

いや、まだだ。ガンダムで例えるなら、首が吹っ飛んだ……つまりメインカメラがやられた程度。なるほど松屋のカレーは、無印と比べるとそこまで安くは無かったのかもしれない。少なくとも値段は。しかし質や量はどうだ? 調べてみないことにはわからないだろう。


・比べてみる

ということで、買ってきたのは松屋の創業ビーフカレー(並盛)単品370円と、無印良品の「牛ばら肉の大盛りカレー」300グラム350円


正直、無印のカレーはどれを選ぶべきかかなり迷った。190円のキーマカレーや、250円のグリーンカレーなどもあった。しかし、そういうカレーは今回の対決の場に相応しくない「変化球」な感じがする。そして、創業ビーフカレーはその名の通りビーフカレーなので、無印もビーフ系にしたいところ。

そんなことを考えながら、大量に並ぶカレーを眺めていて目に止まったのが、無印の主力っぽい350円ラインの1つ「牛ばら肉の大盛りカレー」だったのだ。ちなみに公式HPによると、一番安いのは180グラム150円のビーフカレーらしいのだが、都内では在庫が無かった。


そういえば、無印はとりあえず300グラムと書いてあるが、松屋の並盛はどれくらいなのだろう。持った時点で300グラムは無いとわかっているが、量ってみよう。容器のままだと174グラム。


中身を別皿に移してから容器だけ量ってみたら16グラムだったので、純粋な中身は約158グラム。なんとなくだが、並盛は150グラムが基準になってるんじゃないかなぁという気がする。キリが良いので。それとも160グラムだったりするのだろうか? 何にせよ無印の約半分の量。


・約束された松屋のカレー

しかしカレーにおいて最も重要なのは味だ。麺とか米なら個人的には量を重視するが、カレーは味を重視したい。松屋推しなのも、あの奥深くてクセになるスパイシーさゆえのこと。


もう何度も食べまくってきたが、あらためてカレーのみをじっくり味わってみると、やはりウマい。とても牛丼屋のカレーとは思えないクオリティ。いや、その辺のカレー屋では太刀打ちできまい。松屋が出店したら、並のカレー屋はきっと潰れるだろう。

食べてすぐに舌や喉に来るスパイスのパンチ力がたまらない。普段は米と共に、飲むように食べてしまうので気づかなかったが、ルーには中々の粘度があったようだ。濃厚である。確かに量の面ではけして多くは無いが、よく煮込まれて濃縮されているという受け取り方もできる。

やはり松屋のカレーはウマい。レジェンドと言ってもいい。今のところ無印のカレーは値段と量で優っているが、このウマさを倒すのはそう簡単ではないだろう。


・無印のカレー

ウマさを発揮する松屋のカレーの横で静かに佇む無印の「牛ばら肉の大盛りカレー」。勝算はあるのだろうか? とりあえずスプーンですくってみると……


肉が、入っている……! いや、惑わされてはいけない。具が目に見える形で入っているからなんだというのだ。確かに心を揺るがす要素ではあるが、惑わされてはならない。カレーは具が入っていればいいとは限らないのだ。重要なのは味。ようし、食べるぞ……


……


……


……


……


_人人人人人人人人人人_
> そうきたか……! <
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一口食べて5秒ほど味わった段階で、思わずそう呟いてしまった。食べた瞬間は、甘口な気がしたのだ。あ、お子様カレーかな? みたいな。松屋の圧倒的勝利を、一瞬ではあるが確信しかけた。

しかし、少し遅れてやってくる確かなスパイスの存在感。松屋とは方向性が違うし、松屋ほど奥深い味わいは無い気がするが、この辺は好みの問題もあるだろう。ただ一つ確実なのは、ウマさのランクで言えばこれは甲乙つけがたいということ……! そして無印サイドの、量と値段的な優位性。

このクオリティで300グラム350円は強すぎる。コスパ面で言えば、無印の完全勝利と言わざるを得ない。ただし味を考慮すれば、松屋のカレーの完全敗北とまでは言えない。松屋のカレーは松屋のカレーとして必要なのだ。それに、店で食べるなら手軽さで優る。

ああしかし、なんということだろう。松屋のカレーはコスパ最強ではなかったのだ。唯一神教の神話が完全に論破され、多神教化を余儀なくされたかのような衝撃。……まあ、安くてウマいカレーの選択肢が増えたからいいか。

参考リンク:無印良品松屋
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.

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