かつては「都落ち」なんて言われた地方移住も、いまでは「よりよい暮らしを求めて」の選択肢のひとつと変化している。実際に具体的に地方移住を検討・実行に移す若者も多いのだとか。

私もそんな2010年代に東京から地方移住したひとりなのだが、「移住初日にマジでビビったこと」がひとつある。地方は地方でも、大阪とか名古屋~とか福岡~のような “都市的地域” 及びその周辺ではなく、ガチ地方の話である。

・闇しかなかった

移住初日、友人に連絡をしたり荷物を整理したりしていたら、いつの間にか22時を過ぎていた。

「晩ご飯、食べ損ねたわ。どこかに買いにいかないと」

とか思いながら、ふと窓の外を見たら驚いた。真っ暗! 

誇張などではなくマジで闇だけ広がっていたのだ! あれ!? お隣さんどうした!? お向かいさんどうした? どこにも何も見えない!!!!

私の家は、決して山奥のポツンと一軒家というわけではない。周りの住宅も空き家ではない。が、そのとき明かりがともっている家はうちだけ。他の家は全て電気が消えており、家々の輪郭さえ見えないほどの闇が広がっていたのである。

まだ22時だよ!? ちょっとォォォォ! みんな寝るの早すぎでしょぉぉぉおーッ!!!!

・20時すぎたら誰も歩いてないんですけどー / 店も開いてないんですけどー

夜が早いのは個人レベルにとどまらない。店もだ。20時を過ぎると多くの店が営業を終了しているのだ。特に驚いたのが飲食店さえも20時に閉店してしまうこと。東京のノリだと20時ってまだまだ夕食スタートくらいだったのだが……。

私が感じたのは、この地での生活リズムはどうやら東京23区あたりのそれと比べて2~3時間前倒しであるらしいということ。19時半すぎに回転寿司に行ったら、もう店じまいしかかってて笑った。そうね、もうお客さんいないもんね。ある意味、正しい判断だ。

・総じて夜が早い

程度の差こそあれ、いわゆる都市的地域以外のエリアは総じて夜が早いという。農業や漁業を主な産業とする地域なら尚更だろう。

移住前、東京の自宅は24時間、外の喧噪に包まれていた。終電も1時くらいまであったので、20時なんかまだ夕方の延長、22時を過ぎてようやく「夜が来た」と感じるような生活を送っていた私。

そのため移住当初はこのリズムに慣れず、買い物に行きそびれてコンビニご飯が続くなんてこともあった。最初はこの夜の早さに不便さを感じていたが、次第に「太陽と共に起き、そして眠る」という当たり前の生活が目の前に広がっていることを、とてもありがたく感じるようになったのだった。

東京のにぎやかさは、それはそれで楽しいものだったけど、体内時計に耳を傾けて送る生活も悪くないものである。

執筆:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.