「肉の万世」と聞いてピンと来る方はどれほどいるのだろうか。関東在住であれば、秋葉原の本店やら、あるいは駅弁や成田空港の弁当などでだいたいご存知のことかと。

ご存知無い方のために簡単に説明すると、肉料理屋である。その万世が、秋葉原でサンドイッチを売る自販機を出したという情報をキャッチ。どんな感じか気になったので使ってみたところ……エモいやんこれ

・実は前からあった

なお、この自販機自体は実は肉の万世の秋葉原本店の建物内に以前からあったもの。とはいえ、中に入らなければ目にすることはなかった。またビル内では自販機を使わなくとも商品を買うことができるため、入っても自販機を使うかどうかは微妙なところ。

筆者も自販機の存在は知っていたが、肉料理屋の建物内に肉料理の自販機があることにスペシャル感は無い。それが今回、普通の飲み物の自販機同様、屋外に設置されたと聞いて興味がわいたのだ。

ちなみに設置場所は、本店の真向かいにあるラジオガァデンという商業施設。身も蓋も無い言い方をすれば、道路を挟んで一方の建物の中にあった自販機が、向かいの道路脇の半屋外な建物に移っただけである。物理的な移動距離はせいぜい20メートルとかそれくらい。


しかし、しかしである。設置場所がわずかに変わるだけで生じるスペシャル感というのはある……と思うのだ。道路脇にカツサンドの入った自販機とかあったら、絶対気になるっしょ?


・異世界感

いざ自販機が出ている場所に行ってみると、閑散としたラジオガァデンにおいて、唯一シャッターが開いている場所に設置された2台の自販機が。片方は普通の飲み物のみを扱う自販機。

そしてもう片方が、目当ての肉の万世の自販機。なんというか、ラジオガァデンの寂れ具合や、薄暗い高架下という立地的な要因が、そこはかとない異世界感をかもし出している。とってつけたようなテーブルと手を洗える洗面台が、その感じに拍車をかける。


・サンド

実際に何か買ってみようと自販機をよく見ると……

いらっしゃいまんせい」の文字が


昭和のダジャレかよ! 随分と気が抜けているじゃないか。まあ外見がどうであれ、売られているサンドイッチがウマいかどうかが全て。ラインアップは「万かつサンド」(700円)、「ハンバーグサンド」(700円)、「ボリュームヒレかつサンド」(900円)、「ヒレかつサンド」(650円)、そして「弐万かつサンド」(1080円)。

そもそも肉の万世で何かを食べたことが無いのでそれぞれがどういうサンドイッチなのかよく分からないが、とりあえず一番スゴそうな「弐万かつサンド」をチョイス。

商品の番号をボタンで入力するスタイルの自販機である。国内だと船の中とかでよく見るタイプ。海外だと駅のホームに設置されていたりするが、国内ではレアな方だと思う。もしかしたら1度もこのタイプの自販機を使ったことが無い人もいるのではないだろうか。



買って気づいたのだが、サンドは普通に常温。気温的な理由もあり結構冷えている。そしてそこそこ重い。とりあえずカツサンド系は最強っぽそうな「弐万かつサンド」をゲットしたし十分だろう。

そして、詳しくは後述するが、ちょっとチェックしたいことがあるため「ハンバーグサンド」も購入していくことに。こちらは結構高い位置にセットされているが、ちゃんとリフト的な受け台が上にあがってくるため、落下して箱もろともサンドイッチが潰れる心配はない



・消費期限は夜まで

こうして2種類をゲット。とりあえず消費期限をチェックしてみると、まさかのその日の24時まで。鮮度めっちゃ重視してんじゃん……などと思っていたら、ちょうどそのタイミングでお店の人がやってきた。


これ幸いと色々聞いてみると、なんと朝9時半にサンドイッチを向かいの店舗から持ってきて、自販機に詰め込むのだとか。しかし24時までとなると、それ以降はどうするのだろうか。

それについても聞いてみると、そもそもこの自販機自体が午後8時半で販売終了になるらしく、その時点で売れ残っているものは全部回収するとのこと。24時間ゲットできるのかと思っていた……と書いたところで公式Twitterを見ると、11月5日からは24時間365日買えるようになっていた。


・クオリティ高い

さて、いよいよ気になる味をみていこう。まずは期待がデカい「弐万かつサンド」。1000円を越えており、普通にその辺で定食が食べられる金額だ。それに見合うだけのものはあるのか……?

箱を開けてみると、中にはカツが2枚挟まったサンドイッチが。もしかして、「弐万」の「弐」ってそういう意味かよ! 


いささか行儀は悪いが、探求のために中身を見てみると、ストレートにカツ以外の物は入っていないようす。


おやおや、これはどうかな。ちょっと物寂しいんじゃないの? まあ食べるけどさ……


おっ、ウマい!


冷えてるし、カツだけだし、所詮はサンドイッチだし、硬くてイマイチな感じなのでは……などとかすかに思っていたが、めっちゃ柔らかい。肉汁などは出てこないが、ソースが染みていてしっとりしている

さすがは肉料理屋のサンドイッチなだけはある。弁当として食べるカツサンド界においてはそこそこ上位に来るクオリティだろう。また、ボリュームも結構あって普通にお腹も膨れる。

でも、都会の真ん中でこのカツサンドに1080円は、ちょっと高いかなとも思う。他に選択肢が豊富だからだ。ただ、新幹線や飛行機、あるいは周囲になにも飲食店の無い場所でウマいカツを食べたい……という場合には、ベストな解決策のうちの一つかもしれない。


・フライドハンバーグ

お次はハンバーグサンドを見ていこう。ハンバーグと言えば、個人的には冷めたらマズい肉料理No.1である。どうにも冷えたハンバーグ特有の、暖かい時よりも強く感じる玉ねぎとかの臭いが気になるのだ。それに、ただの冷えた肉よりも硬くなってる気もするし。わかっていただけるだろうか?


あえてハンバーグサンドを購入したのは、その辺をチェックしてみたかったからである。こちらも中身を開いてみると、申し訳程度にピクルスの存在を確認


もしかして極力他の具を入れないスタンスなのだろうか。まあいいや、食べてみよう。


こっちもウマい!


伊達に肉料理屋のサンドイッチではないということか。危惧していた臭みは無く、ハンバーグをフライにした効果なのか、カツ同様にジューシー。肉も柔らかく、染みこんだソースがウマい。「弐万かつサンド」よりも好きかもしれない。

これは700円ということで、まあそんなものかなという気がする。やはり弁当用のハンバーグサンドとしてはかなり優秀だろう。チーズとか挟んだらもっと美味しくなりそう。

なお、この自販機は設置場所を募集しているらしく「オフィスや商業施設、休憩スペースや食堂などに」と謳(うた)っている。


夜24時までしか持たないのにどうやって補給するのかなど色々気になるが、もし周囲にコンビニや飲食店が無いオフィスならそこそこ需要はある……かもしれない。いや、やはり値段が少しネックになるだろうか。


・エモい

まあ売られているサンドイッチのクオリティについては間違いなく高い。とにかくウマいカツサンドが好きでたまらないという、カツサンドマニアにとっては垂涎の自販機足りえる気がする。

ただ、個人的には何よりもこの風景が最高に思えてならない。高架下の暗がり。昭和感あふれるラジオガァデンの寂れた一角で、提灯スタイルの電灯の下に稼動している一風変わった自販機。


壁にはむき出しで違和感ありまくりな洗面台と、雑に置かれたテーブル……なんだか面白くないだろうか? ここに秋葉のメイドさんをおもむろに立たせて、真顔でカツサンドを食べてもらったら、なんとなく雰囲気が出まくってエモい光景が爆誕しそうな気がする。

参照元:肉の万世、Twitter @manseimark
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]

▼そこそこデカい

▼24時間365日で食べられるぞ

[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]