缶詰はただの保存食ではない。そこにはそれぞれの物語が詰まっている。世界に散らばる缶詰を愛とともにご紹介する連載が『缶詰マニア』だ。

コンビニで売られているものから、知る人ぞ知るこだわりの一品、果ては海外の製品まで、様々な缶詰を開けてきたこの連載。本記事では、中でも感動するくらいウマかった「最強缶詰5選」をお伝えしよう!

高木商店『寒さば』税込310円

缶詰の王者であるサバ缶だが、高木商店『寒さば』はそんな中でもトップクラスと言っても過言ではない。味噌煮と水煮という基本中の基本の味付けでありながら、なめらかにトロける身のウマさは桁違いだ

コクのある甘みがサバの味を引き立てる味噌煮はもちろん、サバの旨みが全面に押し寄せる水煮も最強。あまりのウマさに編集部が揺れた。


高木商店『焼きいわしのアヒージョ』税込249円

高木商店と言えば、『焼きいわしのアヒージョ』も素晴らしい。ニンニク香るパンチのあるタレは、米があったらぶっかけたいレベル。

サバ缶の時は素材の味を見せつけた高木商店だが、『焼きいわしのアヒージョ』は味付けにおいても実力の違いを見せつけるような出来だ。これが税込249円は安すぎる。もし、缶詰ミシュランがあれば5つ星を取るに違いない。さすが高木商店、略して「さすたか」。


マルユウ『限定さんま缶』税込498円

サバ、イワシと来ればサンマに触れないわけにはいかないだろう。そして、サンマと言えば「幻のサンマ缶」がある。マルユウの『限定さんま缶詰』だ。

北海道根室で水揚げされる「トロさんま」の腹身のみを使用したこの缶詰は、不漁の年だと製造中止になることもある幻の逸品である。トロけ落ちるように柔らかいジューシーな身はさんま缶詰の完成形。一度食べると、普通のさんま缶詰では満足できなくなる禁断の箱だ。


アール・シー・フードパック『江戸ッ子煮』税込378円

これまでひたすら力の入ったハイクオリティーな缶詰を紹介してきたが、ここらでひと息入れようじゃないか。そんな気分にぴったりなのがアール・シー・フードパックの『江戸ッ子煮』。

豆、糸こんにゃく、昆布巻きなど素朴の具材に溶け込むような優しいカレー風味の味付けは、都会に疲れた心に染みわたる。瞳を閉じればそこには、まぶしかった幼き日の光景が広がっているはずだ


いなば『タイカレー(グリーン)』税込99円

様々な缶詰をご紹介してきたが、正直コスパにおいて、いなば『タイカレー(グリーン)』に勝てる缶詰はないと思う

開けた瞬間、強烈な香りがあふれ出すこの缶詰は原産国タイのガチもの。スパイシーかつオリエンタルな香りと風味は、とても99円と思えないウマさだ。店でこの缶詰をぶっかけただけのグリーンカレーが出てきたとしても、まず見分けられないだろう


──ウマさだけではなく安さもポイントの缶詰。最安99円から498円まで5つをご紹介したが、いかがだっただろうか。くしくも本日10月10日は缶詰の日。もし、気になるものがあった人は、ぜひこの機会に食べてみてくれ。

執筆:缶詰評論家・中澤星児
Photo:Rocketnews24.