2019年9月20日に開幕したラグビーW杯。初戦でロシア代表と対戦した日本代表は試合序盤こそ浮き足立っていたが、徐々に自分たちのペースを取り戻すと30−10で勝利を収めた。トライ数のボーナスポイントも獲得し、勝ち点5と上々のスタートを切った。

しかし、決勝トーナメントへの道のりはまだまだ長いし、楽観視することはできない。なにしろ、次戦(28日)は同じプールAの中でも頭一つ抜けた存在のアイルランド代表──世界ランク2位(W杯が始まるまで1位)の難敵が待ち構えているのだ。

・北半球の雄

これまでのラグビー界といえば、南半球の強豪国を中心に回っていた。世界最強軍団のオールブラックス(ニュージーランド代表)をはじめ、オーストラリア代表、南アフリカ代表……過去のW杯優勝国をさかのぼると、2003年大会のイングランド代表を除けば全て南半球だから勢力図がよく分かる。

ただ今回、優勝候補の一角として数えられているのがアイルランド代表だ。2018年のシックス・ネイションズ(欧州6カ国対抗)で全勝優勝すると、テストマッチではオールブラックスを撃破と成長著しい。現にW杯本大会の初戦ではスコットランド代表に27−3と完勝。突き入る隙を与えずノートライに押さえ込んだのは、記憶にも新しい。

重戦車のようなフォワードに堅すぎる守備……ひたすら強さが際立つ試合だったが、警戒すべきはやはりスタンドオフの司令塔「ジョナサン・セクストン(34歳)」。ラグビーではフォワードとバックスの間を繋ぐスクラムハーフとスタンドオフが試合の展開を左右することが多いが、彼はいろんな局面を打開できる厄介な選手だ。

・警戒すべきはキック

そしてもっとも気をつけたいのが精度の高いキック。彼はアイルランド代表のプレースキッカー(前大会の五郎丸選手の役割)というだけでなく、勝負どころのドロップゴールで3点をもぎ取る決定的な仕事もしてきたようにプレッシャーにだって強い。また、キックパスも使いこなすから日本代表は多彩な攻撃に手を焼くことになるだろう。

しかも、プレーは円熟味を増しており、キックだけでなくランやパス、試合をコントロールする頭脳とどれをとっても世界最高峰。それに加えて188センチ92キロの恵まれた体格だから、突破力にも気をつけたいところだ。では、日本代表はどう戦って勝機を見出すのか。

・どう戦えばいい?

答えは簡単。チームの心臓であるセクストンにプレッシャーを与え続けて仕事をさせないことである。長所は短所。80分を通して継続するのは至難の業だが、セクストンの存在を消すことができたならばアイルランドとはいえ必ずほころびが見つかるはずだ。

大方の予想ではアイルランド代表が有利。しかし、日本代表には格上の南アフリカ代表を撃破した経験がある。そして今回は、声援の後押しを受けるホームでの試合だから再び世界を驚かせる結果になっても何ら不思議ではない。キックオフは16時15分。決勝トーナメントを手繰り寄せる試合を期待して応援しよう。

参照元:YouTube、Instagram @sexton_johnny10
執筆:原田たかし

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