さすがに夏がピークっしょ? 気温が下がれば冷たい飲み物よりも、温かい飲み物のほうが好まれるようになるのはこの世の真理。天下のタピオカとてこのルールには抗えまい。セミやカブトムシのように、夏と共に過ぎ去っていくのだろう。タピオカ人気についてそう思っていた筆者。

しかしここにきて、タピオカ人気が冬を越す可能性が浮上してきた。まさかのタピオカ入りホットドリンクである。仕掛けるのは天下のミスタードーナツ。おいおい、タピオカってコールドだからウマかったんじゃないのかよ! もしかしてホットでもイケちゃう系だったのか? こいつは飲んでみるしかねぇ!

・『ホットタピオカドリンク』

2019年9月20日から全国のミスタードーナツにて発売が開始された『ホットタピオカドリンク』。ネーミングのド直球具合も、ここまでくると潔さを感じる。フレーバーはロイヤルミルクティと抹茶ミルクの2種類で、どちらも税込み496円。(店舗によって価格が異なる場合あり)

今回紹介するのはホットのみ。しかし両方ともアイスVer が用意されていることも、ここでお伝えしておこう。価格もホットと変わらないので「まだ暑くてホットどころじゃねぇ!」という場合はアイスをどうぞ。


ということで、早速ミスドにて2種類ともゲット。カップの素材は発泡スチロール製で断熱性に優れた仕様。細かい気遣いがありがたい。ちなみにカップのデザインは1種類のみのようで、外観からはどちらがどちらなのか見分けるのは困難。


ホットなためかタピオカドリンクでおなじみの、ぶっといストローはついていない。飲み口はコンビニのホットコーヒーとかと同様のデザイン。飲み口となる部分を折り返して、突起をカップ中央付近のくぼみにはめ込んで固定するタイプ。


ストローのかわりについているのは、長いスプーンだ。きっとこのまま飲んでも、タピオカは缶の「コーンポータージュ」のコーンのように、カップの底に残ってしまうことだろう。それをスプーンですくって食べてね……というメッセージなのかは分からないが、でも間違いなくそうなるだろう。というか、実際そうなった

飲む前にそれぞれのタピオカを見てみよう。まずは定番のロイヤルミルクティだが、こちらは普通の茶色いタピオカ。外見上で特筆すべき点は認識できなかった。


それに対して、「おっ!」となるのが抹茶ミルクのタピオカ。タピオカ自体にそこそこ強い抹茶味がついていて、見た目もマスカットのように鮮やかな半透明のグリーン。あるいはうぐいす豆のよう。これは透明な容器越しなら映える気がする。


・ホットでもイケる

ではいよいよ飲んでみよう。はたしてホットでタピオカはどうなるのか? まずはミルクティからだ。飲んでみると……あ、普通にいけるやん。なんというか、白玉ぜんざいの白玉が小さくなったみたいな? 白玉よりはタピオカの方が小さくてムニムニしているが、それなりにホットドリンクとマッチングしている。

冷たいドリンクに入っている時よりも、タピオカたちはこころなしかやわらかく、粘度が上がっている気がする。そしてホットゆえにか、タピオカ自体のデンプンの甘さも強く感じられた。ちなみにドリンクの総評としては、普通にホットなロイヤルミルクティに普通にタピオカが入ってる感じ。手抜きの感想っぽく見えるかもしれないが、そういうわけではない。

これは、タピオカ入りのホット飲料という新規格にもかかわらず、違和感無く巷で人気のタピオカ飲料たちと同等のクオリティで出してきた……という方向で受け取っていただきたい。これなら、冬になってもタピオカ難民になる心配は無用だろう。ホットタピオカをキメればいいということ。

そして抹茶の方は、抹茶ミルクの液体自体はやはり普通の抹茶ミルクティー。しかし、うぐいす豆じみた抹茶タピオカの抹茶力(ぢから)が思いのほか強い。タピオカを噛むと、抹茶フレーバーがバックドラフトによる爆発のごとく力強く広がる。

タピオカにこんなにパワフルにフレーバーをつけられるなら、もっと、例えばストロベリーとか、メロンとか、アメリカンにベーコン味とかあってもいいんじゃない? とか思ってしまう。これはきっと他のメーカーも真似して、色んなフレーバー付きタピオカでホットを出してくるんじゃないかなぁ……なんて思ったり。


・ホットドリンクとストロー、そして残留タピオカのジレンマ

そして先に述べたとおり、ミルクティ部分を飲み終わっても、カップの底にガッツリタピオカが残る。小さい飲み口からでも確かに観測できるレベルでガッツリ残る


そしてこちらも先に述べたとおり、ストローはついていない。でもちょっとストローが欲しいところ。ストローがあれば、カップの底に残ったタピオカを効率よく吸い取れるのは皆さんご存知のことだろう。


無論、その行為が全くエレガントではないとは百も承知。しかし考えてみて欲しい。これを飲むのは多くの場合、イートインだったり、歩きながらだったりとそれなりに人目につく場所だろう。

残ったタピオカをズルズルと吸う行為はどうしようもないレベルでエレガントじゃないが、ホットドリンクを飲み終わってから、カップを外してスプーンで底に残ったタピオカを食べるスタイルもまた、どの道エレガントではない。

エレガントではないことに違いが無いのであれば、楽な方がいいというものである。冷め切って、食べ残しじみたタピオカをチビチビとスプーンで掬っては食べるむなしさ。ストローをつけてしまうと、最初からホットドリンクをストローで吸い込む人も出るだろう。

火傷を負ったとしてクレームになる可能性が、低く見積もって100%くらいある気がする。その辺をミスドが意識したかどうかは分からないが、タピオカ=ぶっといストローというイメージは間違いなく世に浸透している。そこをあえてのスプーンで出してきたからには、スプーンこそがミスドなりの答えだったのだと個人的に受け取った。

ホット仕様のタピオカドリンクは、きっとこれから冬になるにつれて色んなところから出てくるだろう。その全てに、ホットタピオカとストローのジレンマはついて回ると思われる。はたして各タピオカメーカーが、この問題にどんなアンサーを出してくるのか……この冬はホットタピオカの展開だけでなく、そちらにも注目したい。

参考リンク:ミスタードーナツ
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.
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▼執筆時は圧倒的な晴れ模様。ぶっちゃけホットドリンクよりもアイスとかカキ氷が食べたくなる暑さ。照りつける太陽の下汗だくになりながら飲みましたが、どちらも美味しかったです。でも皆さんはもっと涼しい時を選んで飲んだ方がいいと思います。

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