佐賀県鳥栖市といえば、サッカー・J1サガン鳥栖のホームタウンとして知られているが……実は「鉄道のまち」でもある。鳥栖駅は、鹿児島本線と長崎本線が分岐する九州の中心駅。かつては広大な操車場をもち、貨物輸送の一大拠点だったらしい。

──という話を、なぜか「とんかつ屋」で知ることに。お店の名前は「とんかつきむら」で、鳥栖市内で約半世紀前に創業した名店なのだが……注文した定食が機関車で運ばれてくる激ヤバとんかつ店だったのだ! いやいや、いくら「鉄道のまち」だとしてもヤベェだろ!

・とんかつきむら本店

やってきたのは、県道17号線沿いにある「とんかつきむら本店」。看板には一応「とんかつ」と書いてあるが、建物前に謎過ぎるボロボロの遮断機があるため、本当に大丈夫な店なのか不安になってしまう……。巨大な鉄骨も異様なオーラを放っているからな。何だよこれ。

そして、入店してまず目に飛び込んできたのは “デコイチ” の愛称で知られる「D51形蒸気機関車」の巨大な動輪だ。さすが鉄道のまち、外観も入口も鉄道一色である。スゲー。

それでは席へ。案内されたのは、店内中央の座敷席なのだが……ウソだろおい。窓際に立派な線路があるじゃねえか。マジかよ。

・A定食

やたらと線路が気になってしまうが、先に注文。お願いしたのは、とんかつきむら定番の人気メニュー「Aとんかつ定食(1231円)」だ。店内には同店を訪れた有名人のサインも多数飾られていて……鉄道好きとしても知られるタモリさんの似顔絵も発見した。

そして待つこと5~6分。その瞬間は突然やってきた。「ご来店、まことにありがとう~ございまぁ~す!」的なアナウンスが店内に響き渡り……

キタキタキターーー!

機関車が定食を運んでキターーー!

ビミョーに恥ずかしいけど、これは大人でもテンション上がる。いやマジでスッゲーなおい。で、ワゴン台に乗っている定食を受け取り、ボタンを押したら……機関車「義経号」は、スーッと厨房の車庫へと戻っていった。ありがとな義経号。

さあ「Aとんかつ定食」とご対面である。こちら、厚く柔らかいヒレカツを味わえると評判の人気メニューだ。

さっそく食べてみると……おっ、アツアツでサクサク。機関車ほどの衝撃はないが、けっこう美味しい。きめ細かいパン粉で薄く衣をまとったカツは、気持ちのよいサクサク食感

そして、しっとりとした肉には辛子が塗ってある。そのまま自家製ソースで食べればOKってことだ。昭和時代の雰囲気に合った、昔ながらの美味しい味。約1200円は少々高い気もするが、演出も込みの値段と考えたら安すぎるくらいだろう。あああ~美味しくて楽しかった。

・子供に人気のミニSLもあり

なお、店内には鉄道模型の他、旧紙幣やレコードなどなど……初代店主が集めたコレクションが数多く展示されている。また土日祝のみ、お子様用のミニSLも外で運行しているから、家族連れで遊びに行くのもオススメ。昭和ミュージアムなとんかつ店、機会があればぜひ足を運んでみてほしい。

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

名称 とんかつきむら本店
住所 佐賀県鳥栖市養父町482-1
時間 11:00~21:00
休日 火曜日

Report:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.
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日本、〒841-0055 佐賀県鳥栖市養父町482−1