常識を求められることの多い現代日本だが、そんな常識も一歩海を越えると全然違ったりするものだ。売れないバンドマンである私(中澤)が、2019年8月、イギリスでライブすることになったのは以前の記事でお伝えした通り。

初めての海外でのライブ。しかも、ロックの生まれた国イギリス! 胸は高鳴る一方だが、渡航前から強烈に「海外を感じるトラブル」があった

・売れないバンドマンがイギリスでライブすることになった理由

そもそも、海外旅行もほとんどしたことがない私。唯一の海外体験は、中学の時に家族と行った香港(返還前)への団体ツアーのみだ。そんな私がイギリスでライブすることになった理由を以下に1行で説明しよう。


──イギリスツアーの決まっている友達バンドのギタリストが抜けたから


つまるところ代打である。予定としては、8月10日にブライトンで開催される夏フェス『AT THE EDGE OF THE SEA』に出演し、3日後にロンドンのライブハウス Shacklewell Arms でライブを行うというもの。

代打とは言え、ロックバンドを10年以上続けている私にとってイギリスは聖地。それは他のメンバーも同じようで、イギリスツアーをするバンド『si,irene(シーアイリーン)』は1つの目標に向かって突き進んでいる感じがする。

だが、ツアーも3週間前に迫った7月23日、リーダーの木下瑛博(きのした あきひろ)から『si,irene』のグループチャットに爆弾発言が投下された。


「ロンドンのライブハウス(8月13日)が変更になりました」


──ファ!? どういうこと? もう3週間前だけどこのタイミングでそんなことあんの!?

なぜ、私がここまでビックリしたのかを説明したい。ライブを待つだけの状態の『si,irene』のライブハウスが変更になるということは、ライブハウス側にキャンセルされたということになる

しかし、日本のライブハウスの場合、災害が起こったりライブハウスが潰れたり、重大な問題でも起こらない限り、決定したライブをキャンセルされるなんてことはほぼありえない。10年くらいライブハウスで活動してきて、そんな事態になったことがない私は混乱した。

グループチャットからのプッシュ通知では、そこまでしか表示されていなかったため、急いで続きを見てみると、ことの全容は以下のようだ。


「ロンドンのライブハウスが変更になりました。別のイベントが入ってたらしい。。。

──マ、マジかよ! これまた日本の常識では考えられない答えだった。そもそも、ライブハウス側のダブルブッキング自体がほとんど聞いたことがないレベルなのである。しかも、分かったのが3週間前って……さすが海外

通常、残り3週間の状態から出演できるライブハウスを探すのはかなり厳しい。日本では、ライブハウスからのオファーは大体1カ月から3カ月くらい先のものが普通だし。しかも海外だ。ライブ自体が無くなる可能性が高い案件と言えるだろう

だが、海外のライブハウスをブッキングしてくれた人がすぐ動いてくれたおかげで変更で済んだようだ。ひゅー危機一髪……。ちなみに、変更先のライブハウスは『The Waiting Room』というところ。

すでに、ライブハウスのスケジュールにも表示されていた。どうやら、イギリスのインディーロックバンド『Yuck』のベーシスト土居万鈴さんと対バンのもよう。


なお、木下いわく、このライブハウスにはギターアンプが1つしかないらしいが……



わしらツインギターやがな



最悪、私はギターアンプなしでステージに立たなければならないかもしれない。イギリスまで行ってエアギター……! この先も色々とトラブルの予感は尽きない初めてのイギリスライブ。全くもって海外である。

参照元:The Waiting Room
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.

▼si,irene – awful pop song(Official Video)

▼ロンドンで対バンの土居さんがベースを弾く『Yuck – Get Away』

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