すべての雄(オス)たちよ、事件である。本日2019年7月11日発売の「週刊少年チャンピオン」32号にて、あの人気漫画『グラップラー刃牙』が28年ぶりにリメイクされたのだ! な、何だってーーーー!?

刃牙シリーズの作者・板垣恵介先生ご自身の手によって蘇った第1話は、基本的には当時のストーリーをなぞっているものの、若干の変更点があるためファンならばチェックが必然ッッ。あの名物モブキャラが消失するなど、いろいろ大変なことになっているぞォォォォオオオオ!

・伝説の第1話

全日本空手道選手権大会の決勝前からスタートする『グラップラー刃牙』の第1話。いきなり決勝戦というのも斬新だが、第1話なのに主人公が特に活躍しないで終わるのもまた、改めて読み返すと異様なストーリー展開だ。

それではさっそくリメイク版を読み進めていこう。ページをめくっていくと……うおおお、キタキターーーーッ! 決勝前に飯を食う刃牙のシーンである。オジヤとバナナをかっこむ刃牙の後ろ姿が描かれているぞ。髪型こそ違うが、当時とまったく同じ構図だ。

ってことはこの後、いよいよあの有名なモブキャラたちが登場するのでは? 「オイオイオイ」「死ぬわアイツ」「ほう炭酸抜きコーラですか……たいしたものですね」が28年ぶりに聞けるぜーーーー! と思いきや……。

・予想外の改変

そこに現れたのは、なんと愚地独歩だったのだ! な、何ぃ~~~~!? そう、まさかの「オイオイオイ」全カットである。マジかよ館長ォォォォオオオオ!

・オリジナル版との違い

「たいしたものですね」おじさんの代わりに、刃牙のエネルギー食について勝手に解説を始める独歩。ちなみにリメイク版では、オリジナルと違い特大タッパのオジヤが3箱に増量されているぞ。しかし、そこになぜか梅干しの姿はない。繰り返す! 梅干しは添えられずッッ!!

また、炭酸抜きコーラの効果について、刃牙に言われるまで気付かないという謎の設定変更もあるので見逃さないでほしい。ともあれ、あのモブキャラたちが登場しないことを少々寂しく感じてしまうのは事実だ。令和版「オイオイオイ」、見たかったなぁ……。

がッ! 今回のリメイク版において、そのあたりはさして重要ではない。あくまで個人的な視点であるが、真に注目すべきは “あの音” だと思うのだ。そう、刃牙の咀嚼音であるッッ!!

・比較してみた

刃牙シリーズの中でも、とりわけ印象的なのが食事シーンだ。それを演出しているのがあの独特な咀嚼音なわけだが、実は第1話の時点ではそこまで顕著ではない。というかフツーである。1話に出てくる咀嚼音をすべて書き出したので、以下で比較してみよう。まずはオリジナル版。


「クチャ、クチャ、モグ、ハグ、クチャ、バク、ゴク、クチャ、クチャ、ガッ、ガッ、ガッ、クチャ、モグ、ゲップ」


改めて書き出してみるとクチャラーすぎて若干引くが、いかがだろうか? 意外とありがちな表現ではないだろうか? それでは続いて、リメイク版の咀嚼音をお聞きいただきたい。


モニュ……ミニャ……ハグ……モニュ……ゴキュ……ゴプ……ゴブォ……ゴブォ……


──圧倒的である。繰り返す、圧倒的咀嚼音である。独創性という意味において、オリジナル版とは比べ物にならないことがお分かりいただけたのではないか? 何だよ「ミニャ」って。どっから鳴ってんだよそれ。

・これぞ刃牙ッッ

刃牙シリーズがここまでの人気を誇っているのは、もちろん登場キャラたちの魅力やストーリー、格闘描写の素晴らしさが要因だと思う。しかしそれと同時に、長い年月をかけ誰にも真似できない領域にまで達した、ちょっと笑っちゃうような「板垣ワールド」によるところも大きいと思うのだ。咀嚼音は間違いなくその一つであろう。

・さすがレジェンド

板垣先生は現在62歳。現役の漫画家として決して若いとは言えない年齢だ。しかし、今なお唯一無二であり続けようとするその挑戦的な姿に、私は畏怖の念を抱いてしまう。範馬勇次郎と同様、この男もまた “地上最強” なのかもしれない。同誌に掲載のインタビューも必読であるッッ。

参考リンク:秋田書店
執筆:あひるねこ
Photo:RocketNews24.
©︎板垣恵介(秋田書店)1992