以前の記事で、Twitterにひそむ “闇の一部” についてお伝えした。裏アカウントをよそい、条件を提示して出会いをほのめかすアカウントが存在する。それだけでも十分危険なのに、裏アカウントの秘匿性を逆手にとって、詐欺行為を行うアカウントも存在するのである。

今回は「コンテンツ販売」をかたるアカウントにDMを送って、購入の希望を示し、Amazonギフト券のコードを伝えた後に、逃亡を図られるまでの一連の流れをお伝えする。

・明るみにならない2つの理由

コンテンツ販売における詐欺行為が、あまり明るみにならないのには2つの理由がある。まず1つが被害額が少額であること。1つのコンテンツにつき、数百円から数千円程度の少額取引が行われているため、被害者が諦めるケースが多いようだ。

もう1つの理由は、販売されているコンテンツがいかがわしいものであること。個人が撮影したいかがわかしい動画や写真など、購入希望者も匿名であるため、騙されてたことを公(おおやけ)に出来ないのである。


前回もお伝えした通り、売り手も買い手も匿名である特殊な状況を逆手にとって、裏アカウントの界隈では詐欺まがいの行為が横行しているのである。今回紹介するのも、その手口のひとつである。


・詐欺と思われるアカウントにアポ

検証を行うに当たって、参考にしたのは詐欺行為の告発アカウントだ。告発アカウントは定期的に問題を起こしているアカウントのIDを投稿して、注意を呼び掛けている。

その投稿に挙がっていたIDのうちの1つを確認してみると、実態は不明だが、動画販売アカウントと称している。


このアカウントに動画を買いたいと伝える。すると……。

相手「カカオトークできますか??」


日本ではメッセンジャーアプリとしては「LINE」が一般的。課金制の出会いアプリに誘導される場合でも、やはりLINEが主流なのだが、なぜかコンテンツ販売の方面では、カカオトークを使うケースが多いようだ。 “裏LINE” 的な用途で使われているらしい。相手はもう1つ、カカオを勧める理由として、こんなことを申し出て来た。


相手「動画の受け渡しはカカオだと助かります ここだと2分くらいの動画しか送れないので! amazonギフト券の準備が出来たら、カカオのQRコードと一緒に送ってください」


Twitterはアップロードできる動画の尺が、ツイートでもDMでも2分20秒(140秒)と決まっている。とは言っても、カカオは動画を送信する場合ファイルサイズが上限100メガバイトと決まっているので、必ずしもTwitterより長い尺の動画を送れる訳ではない。おそらく、動画の長さよりもカカオに誘導する意図があったのだろう。


・決済に使われるもの

もうひとつのポイントして、ここで相手がAmazonギフト券に触れていることが挙げられる。決済に使われるのはアマゾンギフト券のほか、iTunesカードがある。この2つはコードを画像かテキスト送るだけで相手が使用できるため重宝がられているようだ。このほかにも、フリマアプリやウェブマネー、最近ではLINEPayなども利用されている


・アマゾンギフト券のコードを送ると……

話を戻そう。カカオをインストールしてQRコードを取得したところで相手に送信する。


するとすぐさまカカオにメッセージが届き、Twitterでの名前を名乗ってきた。


相手が販売可能な動画をいくつか持っていることを伝えてきたが、ぶっちゃけそんなことには興味がないので、すぐにアマゾンギフト券のコードを送信する旨を伝える。


佐藤 「とりあえずコードを送りますね」

相手 「そうですね、では先にコードの確認よろしいでしょうか?」


ためらうことなく、コードが記載されたギフト券の写真を相手に送信。


予想通り、たちどころに音信不通となったのである。呼びかけても反応はなく、Twitterもブロックされる始末


・氷山の一角

以上がコンテンツ販売の売り子側の詐欺の1つである。このアカウントに詐欺行為をはたらかれたことを訴えている人もいるようだが、被害を訴えている人の数はきっと氷山の一角で、かなりの数の人が騙されている可能性がある。これらのコンテンツ販売にはどんな危険が潜んでいるかわからないので、十分に注意して欲しい。

Report:迷惑LINE評論家:佐藤英典
Screenshot:Android「Twitter」「カカオトーク」