NHKというと、もっぱら「集金」で炎上か「筋肉」でバズるかの二択なイメージが強い気がする今日この頃。しかし今回はこれらとは別の、NHKの結構凄い側面についてのお話。それは……NHKの放送・映像技術は日本一ィィィイイイ!! というもの。

実はNHKって研究所を持ってるんです。名前もそのまま「NHK放送技術研究所」で、通称NHK技研。日本には他に同様の研究所はなく、オンリーワンなため自動的に日本一。ここの技術レベルがそのまま日本のレベルということ。そんなNHK技研のガチで最先端な研究成果を見に行ってきました。

・技研公開2019


2019年5月30日から6月2日までの期間、NHK技研がその研究成果を一般公開する「技研公開2019」が開催中。入場無料で誰でも入れ、実現されている最先端技術や、まだ特許出願中の新技術なんかを体験することができます。会場は世田谷にあるNHK技研のビル。

テーマは「ワクからはみ出せ、未来のメディア」ということで、NHKが想定する2030年~2040年ごろのメディア技術を紹介しています。なお、シャレのつもりか、展示内容のいくつかは実際に「はみ出す」系のものでした。


・AR、3D技術

何からはみ出すって……画面からです。撮影禁止だったので写真や動画でお見せすることができないのですが、どの位置からでも裸眼で3Dに見える何かスゴいディスプレイ(ちょっとぎこちない感じがいかにも「開発途上」という感じでリアルだった)や……



ARに対応しているテレビ放送など。タブレットなどの端末とリンクさせることでテレビ単体よりも充実した視聴体験ができたり、眼鏡的なAR用デバイスを解することで、目の前で俳優の武田真治さんが筋トレするものを見ることができました。



3Dはぶっちゃけ、立体にならなくてもそんなに困らないというか、今あるVRでいいかなぁなんて思ったものの、ARは正直欲しかったですね。VRと違って完全に現実と遮断されないので、常時装着したままスマホやPCの表示を視界にオーバーレイ表示できたら便利だしかっこいい。



・リアルタイムで3D化

他にもいろいろ展示されていて、中にはちょっと専門的すぎて理解不能な高レベルのものもチラホラありました。しかし、シロウトな筆者でも「これスゲェ!」となったのはカメラで写しているものを、リアルタイムで3D化する技術



これ、被写体は体に何も装着しなくていいんですよ。凄くないですか? 何もつけずにただカメラに写るだけで、それがそのままリアルタイムで3Dになって、モニターに表示されるんです。

きっと将来的にはスポーツの試合などを3D化して、360度全方位から好きな角度で見ることが出来るようになるのでしょう。例えば、野球やサッカーの試合を、3D化したものとはいえリアルタイムに選手と同じピッチ上の視点で見ることが出来るようになったりとか。


・極薄な8Kディスプレイ

とまあここまでは、最先端すぎて開発途上感がむき出しな感じのTHE 技術発表みたいな展示だったのですが、中には完成品の展示も。一番欲しくなったのは有機ELを使用した8Kのディスプレイ。


https://instagram.com/p/ByEthnqFdxT/


サイズはなんと88インチとめちゃくちゃデカい。そんなにデカくて8Kなのに、厚さは窓ガラスと同じくらい! 知らない間にここまで技術が進歩していたとは……。たくさんの人が裏を覗き込んで、予想外の薄さに驚いていました。



・玉音放送や上皇陛下ご成婚答辞のカメラも

会場のほぼ全てが最先端技術に関するものだったのですが、1カ所だけめちゃくちゃクラシカルな展示を行っているブースも。そこでは、上皇陛下がご成婚されたころに使われていたカメラや……



令和生まれを消し炭にし、平成生まれも秒殺できる、チャンネルを変えるにはダイヤルをガチャガチャするブラウン管テレビ……



戦争映画とかでよく玉音放送が流れるシーンくらいでしか現代では見ることがない、昔のラジオ……



そして玉音放送のアナウンス原稿も! そうだよなぁ……放送を担当したのNHKだしなぁ。そりゃあ持ってるよなぁ。



・ちょっとガチ度が高いけど……

などなど、他にも一瞬でモノクロ写真をカラー化して印刷してもらえるブースや、微妙に物悲しさを感じざるを得なかった「テレビの内容について話相手になってくれるロボット」なども。

さすがは2030年~2040年を想定しているだけあって、どれもこれも未来感が半端なかった! 単に考えただけの未来予想図的なものではなく、ガチで実現に向けて研究されている成果の展示なため、車とかのコンセプトデザインなんかよりもぶっちぎりでリアリティがありました

余りにガチすぎて専門家じゃないと理解不能みたいな展示もチラホラあり、万人向けという感じではないですが、こういうの好きな方はぜひ足を運んでみてください。期間中の土曜日と日曜日は子供向けワークショップなんかも開催されるようです。

参考リンク:NHK技研
Report:江川資具
Photo:RocketNews24.

▼1952年のカメラを逆から。


▼使い方が全く想像できない……。


▼玉音放送時の配置図も。夜明けまでかけて録音して、直後に宮城事件が起きたりしたとかなんかそういうドラマありまくりのやつ。


▼テレビの内容について話し相手になってくれるロボット。歳とってこいつが唯一かつ最後の話し相手になる人も出るんだろうなぁ……ディストピアみある。


▼社員食堂も入れました。


▼眺めのええ場所で飯食べてはりますな。


▼Cランチ640円。
https://instagram.com/p/ByEz4PVFCc2/