2019年4月に池袋で起きた自動車事故の件を挙げるまでもなく、近年は特に高齢ドライバーによる悲惨な事故が後を絶たない。「一定の年齢になったら自動車運転免許は返納すべき」なんて声も聞こえてくるが、今のところ法的な整備まで追いついていないのが現状だ。

さて、この一件は私、P.K.サンジュンにとっても他人ごとではない。というのも、70歳の父がリタイアを機に「キャンピングカーで日本一周したい」と言って聞かないからだ。果たして父に自動車運転免許証を返納させるために、私は、そして家族はどうしたらいいのだろうか?

・キャンピングカーで日本一周宣言

自営業を営む父が、来年(2020年)を目処に引退する。大金持ちではなかったが、私が小学生くらいまでは小金持ちレベルの生活をさせてくれた父。その後、一家の財政は急降下をたどったが、父が我々のために一生懸命働いてくれたことは家族全員が知っている。本当に感謝しています。どうもありがとう。


母が他界して8年。生前はそこまで母に優しくなかった(ように見える)父であるが、今も口を開けば「お母さんが、お母さんが」と繰り返している。やはり、先に逝くべきは男。父が先に他界していたとしたら、母はここまで父のことを引きずっていなかったハズだ。

少々話はズレたが、父が最近になってこう切り出した。「リタイアしたらキャンピングカーで日本一周する。お母さんと一緒に行った思い出の地を巡る」と。思い出の地を巡るのは構わないのだが、私と2人の妹は「キャンピングカーで」という部分を非常に懸念している。

・昔は運転が上手かった

若かりし頃、父は運転が上手だった。身内だから言うワケではなく、私が一緒に車に乗って「あ、この人は運転が上手いな」と感じた人ランキング3位には確実に入る(ちなみに母はド下手だった)。それだけに自信もあるのだろう、我々が「運転はやめてくれ」といくら言っても一向に耳を貸さないのだ。

これが仮に70歳だとしても、体がバリバリ動いているなら我々もここまでは強く止めない。だが父はここ数年「腰が痛い」「腕がしびれる」「自分の体じゃないみたいだ」と常に体の不調を訴えているのである。そんなことを何度も聞かされてなお「安全運転でいってらっしゃい」とは私も言えない。

しかも、ここ5年ほど、父はほとんど車を運転していないのだ。いまは車が無い状態で生活をしているので、確実に勘は鈍っているハズ。キャンピングカーで日本一周という発想そのものは結構だが、東京すら出られないで事故を起こす可能性だって決して低くはない。

頑固を100個くらい凝縮された “超高密度の頑固者” の父。池袋の一件を例に出し「他人様に迷惑をかけるかもしれないんだよ?」といくら告げても「俺は大丈夫」と聞く耳を持つ気配すらない。こんな父に運転免許証を返納させる妙案なないものか? 真剣に悩んでいる。

・聞く耳を一切持たない

ちなみに父がキャンピングカーにこだわっている理由は、おそらく金銭的な理由だ。だとするならば、決して余裕があるわけではないが、私が全ての旅費を出すしかあるまい。ただ「お前らに迷惑かけるくらいなら飛び降りる」と言って憚らない父がそれを素直に受け入れるのか? 不安は残る。

まだ1年ほどの猶予はあるが、父はどうすれば自主的に運転免許証を返納してくれるのだろうか? 父の最大の弱点である2人の孫を最大限に活用してでも、キャンピングカーでの日本一周だけでは阻止したいと、私はいま真剣に悩んでいる。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼こちら、母が父の頭をイスでカチ割った話。

▼こちらは「孫なんていらないんだ!」とブチギレていた父の話。