今から約4年前、私(hirazi)は東京・板橋区にある男性用シェアハウスに住んでいた。2年ほどそこで過ごしただろうか。アラサーにして知らない男たちと共同生活を始めるなんて、今考えると思い切ったものだ。

さて今回は、私が実際にシェアハウスに住んでみて感じた良かったこと、悪かったことを皆さんにお伝えしよう思う。入居を考えている方は参考にしてもらえると幸いだ。

・男の園

私が住んでいたシェアハウスは、2階建てで玄関は1カ所。靴を脱いで上がった先に各々の部屋があった。リノベーションされてはいるものの、夏場は毎日ゴキブリに遭遇するくらい古い建物である。入居者は大体10名前後で、年齢は20歳~40歳くらいとかなり幅広い。フリーター、会社員、学生など、多種多様な男たちが生活を共にしていたのだ。

・共同ゆえに……

最新のシェアハウスがどうなっているかは分からないが、当時は風呂、トイレ、キッチン、洗濯機といった、生活に必要な設備はほぼすべてが共同だった。

これは仕方のないことなのだが、シェアハウスの悪い点の一つとして、共用物の争奪戦が挙げられる。私が住んでいた場所は洗濯機が2台しかなかったため、洗濯の権利を巡る奪い合いが日常的に繰り広げられていた。1台が故障した時なんて、あれはもう本当に……筆舌に尽くしがたいほどの大惨事だったぞ。

想像してみてほしい。パンツや汗まみれのTシャツが放り込まれたゴミ袋の山が、洗濯機の前にところ狭しと敷き詰められているという世にもおぞましい光景を……。

・プライバシーはある

このようにプライベートとは無縁のシェアハウスだが、唯一の憩いの空間と言えるのがそれぞれの個室だ。4畳ほどの狭いスペースには、ベッド、デスク、ハンガーラックが入居時から用意されている。これは嬉しい。

とはいえ、部屋の半分をベッドが占めてしまっているため、私はほとんどの時間をベッドの上で過ごしていた。酷使するあまり、入居1年ほどでベッドがVの字に崩壊したのは苦い思い出だ。 

・お金の話

入居を考えている人が一番気になるのは、やはり金銭面についてではないだろうか? 私がいたシェアハウスは築年数が古かったため、家賃もそのぶん安かった。お値段はズバリ……3万8000円である! この中に電気代、水道代、ガス代、ネット代が含まれており、光熱費は基本的に固定で変動はしない。

不動産情報サイト「ライフルホームズ」によれば、板橋区のワンルーム賃貸の相場は7万3900円(2019年4月24日時点)らしいので、デメリットを差し引いてもお値打ちの賃料と言えるだろう。よっしゃ! 貯金しまくったろ!! なんて意気込みながら、意気揚々と引っ越したことを今でも覚えている。だがしかし……。

相当溜め込んだように思うかもしれないが、結論から言うと、2年たっても貯金はあまり増えなかった。これはシェアハウスに住み始めて以降、飲みに行く回数が極端に増えたのが要因だと思われる。まあ、私があればあるだけ使ってしまうダメ人間だったというだけの話なのかもしれないが。

・一番辛かったこと

いくら仲が良くても、やはり人間同士。生活の場を同じくしているとトラブルが絶えない。中でも個人的に一番キツかったのが騒音問題だ。私の部屋が共用スペースの隣だったこともあり、深夜の騒音はとにかく耐えがたいものがあった。

具体的には、洗濯機の脱水音! 人狼ゲームではしゃぐ声!! 太鼓らしき楽器をポンポン叩く音!!!  などが挙げられる。あれが一体何の音だったのか、何を叩いていたのかは いまだに分からないが、当時の私は最新のスマホよりも最新の耳栓の方が気になっていた。

・良かったこと

ネガティブな話が続いてしまったが、もちろん悪いことばかりではない。いや、むしろ良かったことの方が圧倒的に多かった。周りにいるのは、見ず知らずの人間と ひとつ屋根の下で暮らそうという人生の猛者たちだ。みんなコミュ力が高く、気遣い上手で、一緒にいてとても楽しかった(まあ騒音はヤバかったが……)。

特に嬉しかったのが、住民からの「お帰りなさい」の声である。仕事でクタクタになって帰宅した時に、笑顔で「お帰りなさい」と言ってもらえることの喜び。シェアハウスならではの特典のようなものではないだろうか。

・掃除が楽

実用的な面でも良かったことが多々ある。恥ずかしながら私は掃除が苦手で、一人暮らしをすると水回りがどんどん赤カビに浸食されていくのだが、私がいたシェアハウスでは風呂、トイレ、キッチンなどはすべて業者が清掃してくれたのである。もちろんすべてのシェアハウスがそうではないはずだが、あれは本当に助かった。

・シェアハウスまとめ

すべて書いていくと記事が終わらないので、このあたりで「良かったこと」と「悪かったこと」を箇条書きでまとめてみたい。

【良かったこと】

・家賃が安い
・水回りはすべて業者が掃除してくる
・住民がたまに手料理を おすそ分けしてくれる
・不在の時にアマゾンなどの荷物を住民が受け取っておいてくれる
・いろいろな年代の人とコミュニケーションが取れて刺激になる
・お帰りなさいの声に癒される

【悪かったこと】

・洗濯機やシャワーが自分のタイミングで利用できない
・入居者の声や生活音が気になって眠れない
・玄関に靴が散乱していて足の踏み場がない
・シャワールームの排水口が週に1回くらいは詰まっている
・誰とも話したくない時に住民とすれ違う際、愛想笑いするのが辛い


※あくまで私が4年前に感じたことです。


・離れてみて

今は再び一人暮らしをしている私。帰ると部屋は真っ暗で、当然「お帰りなさい」の声もない。そんな時、シェアハウス時代の住人達の暖かい笑顔を思い出すのだ。たしかに不自由な部分もあったが、あの温もりが時々無性に恋しくなる。

またシェアハウスに住みたいか? と聞かれたら、私は迷わずにこう答えるだろう。住んでもいい、と。でもそれ以上に……。結婚したい……。

参照元:ライフルホームズ
執筆:hirazi
Photo:RocketNews24.
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