誰もが知る世界規模の有名コーヒーチェーン、スターバックス。スタイリッシュな空間と上質なサービスは、多くの人々に憩いを提供している。だがしかし、驚くべきことに私(西本)はそんなスターバックスに行ったことがない

ビビりの私は、以前初めて訪れた吉野家と同様、スターバックスにもハードルの高さを感じて生きてきた。とはいえ、30歳のド成人がスタバに行ったこともないのはやはり致命的にマズい。そこで今回、勇気をもって初チャレンジしてみることにした

・敬遠の理由

私がスタバに入れなかったのは、ひとえにオシャレオーラがすごすぎて近寄れなかったからである。「何だそのナメた理由は」と言われそうだが、オシャレと無縁の人間は、オシャレスポットに対して目には見えない壁を感じてしまうものなのだ。

しかし……私だっていい加減オシャレな人々の仲間入りがしたい。オシャレになりたい。


・因縁の相手

意志を秘めてやってきたのは、スターバックス青山骨董通り店。 オシャレな街のオシャレな店に行けばオシャレになれるだろうという、独自の思考に基づいたアプローチである。

ここまでの道のりで、すでにシャレたお店や人々を数多く目にしていたため、肩身がナノレベルで狭くなっているのだが……

例に漏れず、スターバックスも当然オシャレ。都会的で洗練された店構えに、緊張のあまり喉が渇いてくる。何か飲んでくればよかったかと思ったが、まさにこれから何か飲む予定だった。もはや頭も回らない。

そんな私のすぐそばに、委縮するこちらを煽るように見てくる存在がいた。因縁の相手とも言えるその存在は――


そう、スターバックスのロゴである。

クソ……アンタはいつもそうやって、スタバに入れない私を微笑交じりに見下してきたよな。「余(よ)には勝てまい」みたいな顔しやがって。今日の私は一味違うからな。その色白の鼻を明かしてやっぞ……!


・突然の窮地

挑むべき相手を再認識し、闘志の炎に駆られて入店。

が、メニュー表を発見すると同時に、早くも炎がしぼみ始める。


なんてこった……


カタカナが……ハチャメチャに多い……!

知ってはいたのだ、スタバのメニュー名にカタカナが多いことは。しかし見慣れぬそれらを冷静に分析することは、この大舞台では困難を極めた。何を頼めばいいか全然わからない…!

その時、脳裏に1つの考えがよぎった。店員に聞くのはどうだろうか。そうすれば、初心者にオススメのメニューもわかるのではないか。

ただ、この方法には多大なリスクがつきまとう。店員に話しかけること自体がコミュニケーション弱者の私にとっては負荷が大きい。そのうえ、もし「面倒な客だな」と嫌な顔をされたら。軽く見積もっても立ち直るまでにざっと1週間はかかるだろう。

とはいえ、他に方法も見つからない。こうなったらやるしかない……!


・優しき店員

半ばヤケになって順番を待っていた私に、「ご注文はお決まりですか?」と男性の店員が尋ねてくる。勇気を出して私は口を開いた。


「あの……私、スターバックスに来るの初めてなんですけど……」

店員「はい」

「な、何か初心者にオススメのメニューとかってありますか……?」

店員「そうですね……お兄さんが今どんなものを飲みたいかにもよるんですが……」


お、「お兄さん」だと? そんな風に呼ばれたのは人生で初めてだ。メチャメチャ感じの良い店員さんじゃないか。やめろ……コミュ弱者を気安く呼ぶな……! コロッといきそうになるだろうが……!


店員「例えば苦い寄りのコーヒー系ですとか、あるいは甘めのものですとか……どちらになさいますか?」

「あっ、は、はいっ……じゃあ甘い方で……!」

店員「それでしたら、バニラクリームフラペチーノなんかがオススメですね。あとは、いま1番人気があるのはこちらの……」


と、そう言って店員さんが示してくれたのは、最近ロケットニュースでも取り上げた期間限定メニューの「ストロベリーベリーマッチフラペチーノ(税抜640円)」。イチゴが大好きな私は、提案された瞬間に「じゃあそれで」と飛びついてしまった。

かくして無事に初注文をクリアし、商品もゲット。震える私を気立て良く包み込んでくれた店員さんのおかげである。まさか店員さんの心遣いまでオシャレだとは。実際に来てみてわかる一流チェーン店のサービスの質に、思わず感動してしまう。


・高クオリティの一品

だが、評価を結論づけるのはまだ早い。肝心の商品の味を確かめなければ。

私の頼んだ飲み物は、正確に言うと「ストロベリーベリーマッチフラペチーノ レッド」。もう1種類の「ホワイト」に比べ、たっぷりのイチゴソースが特徴的。

デコレーションのように降りかかるパウダー、ウェーブを描くふんだんなホイップ、鮮やかなイチゴ色のソースの調和が美しい。自分がスタバでこれを頼んだと思うと、しみじみと感慨が湧いてくる。

加えて、モダンな造りの店内はムード満点。私、いま猛烈にオシャレしてる……!

そうだ、せっかくだからフラペチーノと一緒に自撮りを撮ろう。憧れのインスタグラムっぽい写真にも初挑戦だ。

フラペチーノをカメラの近くに置いたせいで、「ストロベリーフラペチーノの陰からどこかをうかがう男」みたいな写真が撮れてしまったが、これはこれで思い出になるだろう。映(ば)え~~!!

アゲアゲなテンションのまま、いざ実食ならぬ実飲。クリームの濃厚さとイチゴの酸味が絶妙にマッチし、スッキリとした味わいが喉を通り抜ける。甘ったるすぎないから男性でもグイグイいけてしまう。美味い、美味すぎる。

おまけに中にはイチゴの果肉もたっぷり入っていて、ジューシーさとみずみずしさをいっそう引き上げている。喉越しだけでなく舌触りでも楽しめる、高クオリティの一品だ。

スタイリッシュな空間、優しい店員さん、そして美味しい飲み物……世界規模で人気なのも今さらながら頷ける。こんな素敵なお店を長年スルーしていたのか。いや、今からでも取り戻せるはずだ。周りから遅れてしまった分、もっとスタバを満喫しよう……!

そんな私の脳裏に、またしても考えがひらめく。違う店舗でオススメを聞いたら、違う商品が出てくるのでは? 初心者にオススメのメニューはまだまだあるんじゃないか?

じゃあもう1店舗行こ


・飽くなき挑戦の果てに

やってきたのは、青山骨董通り店から5分程度の距離にあるアクセス表参道店

こちらのお店もとってもオシャレだ。だがしかし、もう委縮するような私ではない。顔を上げ、再びスターバックスのロゴと視線を交わす。

さっきはごめんなロゴ。ちょっとカリカリしてたんだ。初心者だけど、もう私もスターバックスユーザーってことでいいよな? これからもよろしくな。

気分はすっかりオシャレモード。意気揚々と入店し、さっそく店員さんに話しかける。


「すみません。私スターバックス初心者なのですが、初心者にオススメのメニューってありますか?」

店員「ええと、それでしたら今1番人気のあるメニューの……」


店員ストロベリーベリーマッチフラペチーノはいかがでしょうか


「………………」



「………………」


「………………じゃあそれで」



ジュルルッ……ズゾゾゾゾゾォ……



ズゾゾゾゾゾゾゾゾォッ……



2回も飲むことになっちゃったけど……



メチャクチャ美味しッッ……!!


・ありがとうスターバックス

というわけで、スターバックスの魅力にとりつかれてもう1店舗ハシゴする男の模様をお送りしてきたが、いかがだっただろうか。ストロベリーフラペチーノは2店舗の店員さんがオススメするだけあって、全く飽きずに飲めたし絶品だと思う。

今回スタバのクオリティは堪能することができたが、メニューのバリエーションまでは把握できなかった。ぜひともまた訪れて、ゆくゆくはヘビーユーザーになりたいところだ。

最後に、厄介な客を2度も受け入れてくれたスターバックスに感謝を申し上げたい。ありがとうスターバックス。全てにおいて素晴らしいお店でした。また近々会う日まで。

・今回紹介した店舗の情報

店名 スターバックス・コーヒー 青山骨董通り店
住所 東京都港区南青山5-10-1
営業時間  月~金 / 7:00~21:00、土・日・祝 / 8:00~21:00
定休日 不定(ほぼ無休)

店名 スターバックス・コーヒー アクセス表参道店
住所 東京都港区北青山3-6-17
営業時間 月~金 / 7:00~22:30、土 / 8:00~22:30、日・祝 / 8:00~22:00
定休日 不定(ほぼ無休)

Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.