それは例えるならば、バックコーラスの中にリードボーカルより声量のある人が混ざっているようなものとでも言おうか。もしくは、フォワードより点を取ってるディフェンスがいる感じとでも言おうか。つまるところ、後ろにいても隠しきれないポテンシャルがにじみ出ているのである。

──「熱烈中華食堂 日高屋」のイワシフライのことだ。こいつが何というかこう……まぁ、早い話が実に美味い。日高屋の中でもっともコスパが良いメニューは、これではなかろうか。

・日高屋のイワシフライとは?

ここまで読んで、「なぜ分かりきったことを言ってんの?」 と思う人もいれば、「イワシフライ? それは無いわ」という人もいれば、「そもそも日高屋に行ったことがない」という人もいることだろう。

それぞれ思うところがあるだろうが、本記事では今まで日高屋に行ったことがないビギナーに向けて説明しよう。

「熱烈中華食堂 日高屋」は関東を中心に店舗を展開する中華料理チェーンである。ホームページで確認しても関東圏にしか店舗が見つからないので、それ以外の地域にお住まいの方にとっては馴染みが無いかもしれない。そんな人には、「餃子の王将をもうちょいリーズナブルにして、品数を少なくした感じ」と言えば分かりやすいかもしれない。

なので当然ながら、主力メニューは中華料理。餃子・ラーメン・チャーハンがクリーンナップをつとめている中で、これから紹介するイワシフライはスタメンに入るかどうかも怪しい

当たり前だ。そもそも中華料理チェーンなのだから。イワシフライのように中華っぽくないメニューは普通に考えたら補欠(お店の売り出し的に)かなぁというところでありながら……その打撃力(味)はクリーンナップの餃子・ラーメン・チャーハンに勝ると私は確信している。

あのサクッと感、ライスにもビールにも合うユーティリティの高さ、そして何より注目したいのは、マヨネーズ・ソース・からしと、ソース的なものが3種も用意されている点である。

通常、こういうところで揚げ物を頼むと、ソース的なものは1種類か、多くても2種類。なのに……イワシフライは3種類。価格は230円(税込)なのに3種類。何もつけなくても美味いにもかかわらず、3種類。

つまり、3種類の味……いや、何もつけないバージョンを考えると4種類の味を楽しめるということ。価格を考えれば、これはあまりにも贅沢すぎる布陣な気がするのだが、どうだろう。

それはまるで、出演料は安いのに、ギターとベースとピアノも演奏できて、なおかつリードボーカルより歌がうまい化物バックコーラスみたいなもの……と、日高屋のイワシフライを食べるたびに私は思ってしまうのだ。

参考リンク:熱烈中華食堂 日高屋
Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.