ウマいそば屋を求めて色んな街を放浪する「立ち食いそば放浪記」。150店以上のそば屋を回るうちに私(中澤)は1つのことに気づいた。それは、立ち食いそば屋の中には専門店顔負けのカレーを出す店が存在するということ。そして始まったのがこのスピンオフ連載「最強そば屋のカレー」である。

カレーがウマイ立ち食いそば屋と言えば、日本橋『よもだそば』や新橋『丹波屋』が有名だ。ハッキリ言ってどのまとめにも載っている。だが、今回ご紹介する立ち食いそば屋は、そんなまとめでは見かけない。言わば、知られざる激ウマカレーが眠る店だ

・古びた黄色い看板

その店の名は『遠野屋』という。東京の東・南砂町にある立ち食いそば屋だ。荒川近くの住宅街であるこの街。広い空から吹くような風が心地いい。新宿のビル風に荒んだ心が洗われるようである

そんな風に吹かれて、丸八通り沿いを歩いていると、古びた黄色い看板に『立ち喰いそば 遠野屋』の文字。周りの広大さから、うっかり見落としてしまいそうになるが、実はここが名店なのである

・絶品のそば

立ち食いそば屋としては雑誌などにも載っているこの店。そのそばは絶品で、太めの麺に絡むコク深いつゆが舌に染み渡るような味だ。

かき揚げ天はかさが高くボリューム満点で、噛むとジュワッと具材の旨味を感じる。かき揚げ天そばは、とても税込420円とは思えない代物。

・そばを食べに来たけれど…

何を隠そう私も、当初そばを食べに訪れた。立ち食いそば放浪記だし、立ち食いそば屋だし。そんな私の度肝を抜いたのが、念のため頼んだカレーライス(税込530円)だったのだ。

濃い色のルウにゆで卵が添えられたカレーライス。ひと目見ただけで入念に煮込まれたものと分かった。スプーンですくうとトロッと白ご飯に絡む。食べてみたところ……

激・ウ・マ! 口に入れた瞬間、ぎゅうぎゅうに濃縮された旨みが爆発する!! スパイシーでありながらもコク深く優しい味が舌を包んだ。

その優しさはまるで寒い冬に家に灯った明かりのようである。豪雪地帯である岩手県の遠野市。雪の遠野の家々に灯る明かりの中で笑う家族が見えた気がした。これが……温もり

・まずはミニカレーセットから

ウマイと評判のそば屋のカレーに勝るとも劣らないこの店のカレーライス。煮詰められ濃縮された旨みは最強である。しかしながら、この店に来てそばを食べないのももったいないので、まずはミニカレーセットから味わってみてくれ。

・今回紹介した店舗の情報

店名 遠野屋
住所 東京都江東区南砂6-3-4
営業時間 6:00~15:00
定休日 土、日、祭日

Report:立ち食いそば評論家・中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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