時は平成の終わり、世は乱世。立ち食いそばチェーン戦国時代の東京。「富士そば」「ゆで太郎」「小諸そば」の御三家が圧倒的勢力を誇る中、明日を目指してテボを振るう者たちが居た。その名を「しぶそば」。

激ウマかつ大ボリュームの高コスパそばを武器に、天下を己が手中に収めんと湯切りする。激動と動乱に満ちた儚き無情の世界で、その目に映るのはいかなるものか? 渋谷にある『本家しぶそば』を食べてきたのでレポートしたい。

・立ち食いそばチェーン戦国時代

高コスパ化が進む立ち食いそばチェーン。前述の通り、そばチェーンと言えば「富士そば」「ゆで太郎」「小諸そば」が圧倒的勢力を誇っているが、近頃、そんな店を脅かす実力を持つチェーンも台頭してきている。

以前の記事でご紹介した十割そばの『嵯峨谷』もその1つだが、価格に比べて高級感のあるそばでグイグイ来てるのが東急沿線を中心に展開する駅そば『しぶそば』。そこで、渋谷の東急百貨店にある『本家しぶそば』に行ってみた。

・入り口で注文

かけそば350円、高いそばで600円くらいの価格帯であるこのそば屋。「金目鯛天そば(税込550円)」など、一風変わったそばメニューも限定で展開したりする冒険心もまた良し。食券式ではなく入り口の会計で先に注文を済ませる形式のため、「かき揚げ天そば(税込500円)」を注文すると……


「かき~揚げ~」


と店員さんが妙に間延びしたリズムの声で叫んだ。人が変わっても同じリズムで注文を通していたので、ひょっとしたらやるき茶屋の「よろこんで!」的なノリなのかもしれない

・半端ないスピード感

それはさて置き、驚いたのがそばの出てくるスピードだ。席を決めてかばんの置き場所を考えてるくらいの時に、そばが出てきたのである。なんとなく「食券式の方がさばくのが早い」というイメージがあったのだが、固定概念を打ち崩すスピード感は、急いでる人も多い駅そばにとって強い武器だろう。

・高級感

さらに、出てきたそばには雑味の欠片もなかった。大判のかき揚げ天とワカメとネギが添えられたそばは、色合いも整っており美しく大ボリューム。食べてみたところ……

カツオ出汁のきいた甘めのつゆが、舌を包むように優しい。そんなつゆに歯切れの良いそばが絡むと、高級感すら漂う上品な味がする。立ち食いそばとは思えないクオリティーだ。

さらに、かき揚げ天はサクッとした食感とつゆを吸って、ふわっと解ける部分が同居するナイスバランス。かき揚げ天を噛むとジュワッとにじみ出てくるつゆがまたウマイ

・儚き無情の世界で見つけたもの

税込500円は明らかに高コスパである。その駅そばとは思えない高級感に感動し、HPを見たところ以下のような理念が書かれていた。

「環境に優しく・身体に優しく・時間に優しく・財布に優しい。
しぶそばは、そんな姿を描いております。
様々な事に優しい「こと」尽くめ。
きっと今の時代で言う “ECO” かな?
遠い昔の人から、日本の時代と風土に合わせながら
進化し続けてきた姿「駅そば」。
地球上が、そんな姿で進んでいったら・・・

きっと、優しい地球になるよね。。。
そんな未来を私たちはみんなで作っていきます」

──まさか駅そばが地球の未来を見据えていたとは……。乱世の世に優しさを見る『しぶそば』。はたして、御三家にかわる『新御三家』となることができるのか? 

・今回紹介した店舗の情報

店名 本家しぶそば
住所 東京都渋谷区渋谷2-24-1 東急百貨店東横店 西館 2F
営業時間 月~金7:00~23:00 / 土・日・祝7:00~21:00
定休日 不定休

参照元:しぶそば
Report:立ち食いそば評論家・中澤星児
Photo:Rocketnews24.

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