個人的な2018年の10大ニュースのひとつに、「花園万頭破産」を挙げない訳にはいかない。なぜなら、私(佐藤)は新宿本店のすぐ近くで10年近く勤務していながら、その味を知らないからである。1834年創業の和菓子店は潰れるだと!? そんなことがあっていいのか?

幸い、パティスリー銀座千疋屋が受け皿となり、100パーセント出資の新会社(株式会社花園万頭)を設立。2018年12月20日に大復活したのである! やった~ッ!! これであの幻の花園万頭が食える~! と思ったら、訪ねた日が悪かった……。

・12月20日再スタート

旧花園万頭は、2018年5月31日に東京地裁に破産申請を行った。6月29日に新会社に譲渡され、本店の経営を継続。12月20日に装いも新たに、本店は「花園万頭 CAFE & SHOP」として再スタートを切ったのである。

もしかして、あの売り文句はなくなったのかな? と思ったら、そのまま掲げられている。


が!



“い” が抜け落ちて、「日本一高い 日本一うま」になってしまっている。それはさておき、中の様子を覗こうと思ったら……

工事中!


20日オープンだったはずだけどなあ~。おかしい、移転ってあるけど、住所地はここだし~。う~ん……どこに行った? と思いながら建物の反対側に行ってみると……


あ! あった。以前セブンイレブンがあった場所がニュー花園万頭になってる〜!


おお~、老舗の雰囲気を残しつつもモダンな感じの店構え。千疋屋のエレガントな要素も融合して、まったく新しい店に生まれ変わってるじゃないか。なんか感動する(涙)……。


・新たにカフェを併設

菓子の店頭販売は、ほぼそのまま。新しいショーケースには、お馴染みの和菓子がズラリ。店舗左奥には新たにカフェスペースが設けられている。真新しいテーブルと椅子が綺麗に並べられており、かすかに木の香りがする。う~ん、生まれ変わった感じがヒシヒシと伝わってくるぞ。

メニューは販売している和菓子のほかに、パフェやみつまめ・あんみつ。


さらに厚切りトースト(税別500円、トッピングは別途200円)まである! 老舗和菓子屋の餡バタートーストが食えるだと! こんなのウマいに決まってるやん!! なお、フルーツジャムは千疋屋のものなのだとか。お互いの強みを最大限に生かしている!


・繊細な餡子とバターのマリアージュ

餡バターの餡子をつぶ餡にすべきか、それとも こし餡にすべきか? おそらく、この問いに正解はない。あえて言えば、どちらも正解なのである。く~……、悩む。しばしメニューとにらめっこした後に、つぶ餡でオーダー。そうして出てきたのは、これ以上ないほどムダを削ぎ落した、ステキな餡バタートーストだった。


新品の木のトレーに焼きたての厚切りトースト。バターを乗せただけで画になる。


余熱でバターを溶かしたところで、つぶ餡を投入。餡子の色つやの良さにほれぼれしてしまう。餡子だけでも食いたいレベルだ。


食すと、実に品がいい。餡子の甘さに繊細さと奥ゆかしさが感じられる。甘いのに主張は控えめで、つぶ餡なのに食感も非常に柔らかだ。餡バターの本場は名古屋だが、本場とは違ったきめ細かな味わいである。


・火曜日は売ってない!?

さて、今日ここに来た本題は、花園万頭だった。いまだ味を知らない花園万頭。その味をついに口にする日が来たかと、感慨もひとしお。1箱買って帰ろうと、店頭で尋ねると……なんと売っていなかった! 実はこの日(火曜日)は販売していないのである。火曜日だけは店頭での取り扱いを行っていない日だったらしい。な、なんてこった……。

という訳で、花園万頭を購入したい人は、火曜日は店頭に在庫がないことを覚えておこう。とにかく、これからは火曜日以外、いつでも購入できるぞ!


・今回訪問した店舗の情報

店名 花園万頭 本店
住所 東京都新宿区新宿5-16-11
営業時間 10:00~19:00(12/31~1/3 10:00~17:00)
定休日 第2・4日曜日

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

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