南青山の「児童相談所建設問題」が世間から大きな関心を集めている。簡単に説明すると、港区が南青山に建設予定の児童相談所について、一部の地元住民が「物価の高さ」や「ブランド価値の低下」を理由に反対している事案だ。

そしていまネットを中心に「反対派の黒幕なのでは?」と言われているのが、南青山の不動産会社『グリーンシード』である。果たして、黒幕呼ばわりされることについてグリーンシード社はどう考えているのだろう? 直撃取材を敢行したのでご覧いただきたい。

・2つの会

まず、この問題を語る上で2つの会を説明しておきたい。1つは「青山の街を守る会」そしてもう1つが「青山の未来を考える会」である。守る会の方はすでに存在しておらず、現在はホームページも閲覧できないが「青山に児童相談所はふさわしくない」とストレートな主張をしているのが特徴だ。

もう一方の「未来を考える会」の主張は「税金の無駄遣いに反対」「綿密な計画性がないから反対」と、守る会に比べれば角が取れている印象で、こちらは現在もホームページ上で反対の署名活動を展開している。

そして、2つの会ともに事務局が設置されている(いた)のが、噂の不動産会社『グリーンシード』──。ネット上では「住民を扇動している」「反対派の黒幕だ」とやり玉に上がっているが、実際のところはどうなのだろう? 電話取材を敢行した。

・電話取材を敢行

まずはグリーンシードに電話取材を申し込んだが、丁重に「未来を考える会」に案内されてしまった。そして以下が、未来を考える会事務局とのやり取りである。


──まずは「守る会」と「未来を考える会」の関係を教えてください。

「守る会ですか……。そんなのあるんですか」

──はい。現在はホームページも閉鎖されていますが、事務局がグリーンシード社になっていました。

「ああ、守る会ですね。あれはもう無くなりました」

──なるほど。2つの会とも児童相談所建設に反対していますが、トーンが違いますね? 別団体と考えていいのでしょうか?

「違う会ですね。メンバーに同じ人間はいますが、未来を守る会の主張はホームページにある通りです。守る会の主張とは違います」

──わかりました。では次に、2つの会とグリーンシード社の関係をお聞かせください。

「どちらとも事務局は弊社内にあります。ただ、イメージ的には窓口と思っていただいていいかと思います。地元住民の方が個人で窓口になるわけにもいかないでしょうから」

──御社ではなく、地元住民の意志を代表して窓口をやられていると?

「そうですね。もちろん建設に賛成の方もいらっしゃいますが、地元住民の方の中に建設に反対されている方がいらっしゃることも事実です」

──なるほど。では、インターネットを中心に「グリーンシード社が今回の件の黒幕だ」と言われていることについてはいかがでしょうか?

「実際に児童相談所の建設には反対しているので、そう言われても致し方ない部分は思います。ただ、私利私欲で我々が反対しているというのは……」

──筋違いだと?

「あくまで主張はホームページにある通りです。弊社も会も児童相談所の建設には反対ですが、反対の理由はそれ以上でも以下でもありません」


というわけで、ネットで噂になっているように「グリーンシード社が児童相談所の建設に反対している」ことは事実のようだ。ただ、黒幕と呼ばれることは本意ではないとのことで、あくまで地元の建設反対派住民の窓口として、事務局を社内に設置しているとのことであった。

つまり、未来を考える会としては「税金の無駄遣い」や「計画性のなさ」が反対の理由とのことで、大きく報道されている「物価の高さ」や「ブランド価値の低下」を理由とした反対派とは一線を画しているということなのだろう。

とはいえ、2つの会ともにグリーンシード社に事務局が設置されている(いた)ことは事実であり、ネット上で黒幕呼ばわりされるのも無理はないのかもしれない。そしてその自覚もあるようだった。児童相談所建設反対問題と共に、グリーンシード社が大きな注目を集めている。

参考リンク:南青山の未来を考える会
Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.