しょし! この時点でピンときてしまった人は、どうぞ本記事は読み飛ばしてほしい。だって、あなたは、すでにこの動画のことを知っているのだから。でも、え? 「しょし」って一体なに? と思った人は、いらっしゃ〜い! 一緒にフィンランドの奥深さに触れてみようじゃありませんか。

「おそロシア」、「やばインド」なんて言葉があるが、フィンランドだって奥深い……今回、筆者はある動画を見てそう思ってしまった。それが1979年に放送された『YMCA』のカバー曲。ヒデキも歌ったあの世界の名曲をこんな風にしちゃうなんて……フィンランド。恐ろしい子!

フィンランドのコメディー番組『Hepskukkuu』にて放送されたカバー版『YMCA』は、ど初っ端からヴィレッジ・ピープルも真っ青な破壊力が炸裂する。

動画『Gregorius: NMKY (live on TV)』の再生ボタンを押すや否や、カメラ目線の男性が登場。微妙にニヤケながらテケテケとキーボードを演奏していくのだが、その姿を見ただけでなんだかジワジワ。キーボードの音が可笑しさを強烈プッシュ。けれども、こんなのまだまだ序の口だ。

ボーカルが「SOS」と歌い始めた途端、その圧倒的パワーに、こちら側の抑えていたものが一気に吹き出してしまう。美しい金髪に形の良い口ひげ、卵色のタンクトップ、短パンから伸びる長い脚、ハイソックス、なんとも形容しがたい動き、朗々とした歌声なんかが混然一体となり……も、もう、ダメ! どうしても笑っちゃう!! 後半からは、これまたハイパワーなバックダンサーも加わるのだから、もうたまらない。

・実はフィンランドを代表するミュージシャンたち

そんなボーカルを目の前にしても、黙々と演奏に専念するバックミュージシャンのなんと偉大なことか……と感心してしまうが、彼らは本物の「フィンランドを代表する偉大なる音楽家」なのだとか。

有名な鍵盤奏者オリ・アーヴェンラーティに、名ベーシストであるペッカ・ポーヨラ。ギターは、有名スタジオ・ギタリストのヘイッキ・ ローリラで、ドラムは、国内で最も多作なドラマーとして知られるタパニ・ナッピ・イコネンが担当。

2007年あたりにネット上で大注目を集めたこの動画は、今でも「形容する言葉が見当たらない」「この動画を通じて神秘的を体験した」などと高い人気を誇っている。たしかに中毒性は凄まじく、見ているだけでなんだか幸せな気分になってしまう。

・日本では「しょし」として有名?

ちなみに冒頭で述べた「しょし」とは、本動画に対する日本での俗称だ。ボーカルの第一声の「SOS」が「しょし」と聞こえることから、このあだ名がつけられたようだ。

またフィンランドといえば、「世界で一番ダサいPV」でも有名。1978年に発表された Armi&Danny による『I Wanna Love You Tender』なのだが、そのエグいほどの破壊力で多くのネット民がやられたことを私たちは忘れてはならない。フィンランド……やっぱり、恐ろしい子!

参照元:YouTube、Yle Elävä arkisto[1][2](フィンランド語)、Discogs[1][2][3](英語)
執筆:小千谷サチ

▼見ているだけで幸せな気分になる