ザ・ビートルズ──彼らが、歴史上最も偉大なロックバンドの1つであることについて異論を挟む人はそう居ないだろう。もう解散してから50年近くだが、いまだに曲を耳にする機会がある。それは彼らが残した曲が、時代を超えて人々を惹きつけるからだろう。

そんな彼らの曲の多くはレノン=マッカートニー名義。ファンの間では「どちらがどれくらいそれぞれの曲を担当したのか」について長らく議論が交わされてきたが、真相は闇の中。そこに、ハーバードの研究者がこの謎にガチ参戦したとのこと……。これはいよいよ解明となるのか、詳細をお伝えしたい。

・統計学的アプローチ

今回この謎に挑むのは、ハーバードの統計学者Mark Glickman氏をはじめとする研究チーム。用いる手法は計量文献学という手法で、特徴を数値化して分析するというものだ。

これは、かつてシェイクスピアの作品とされているものの幾つかが、実は彼と同世代の劇作家クリストファー・マーロウとの共著であったことを明らかにした際にも用いられた手法。正に「誰が書いたか」を調べるにはうってつけといえるだろう。

手法についてGickman氏は海外サイトEurekalertにてこう述べている。


「一つの色を、赤、青、そして緑の3原色に分けて、それぞれの比率がどうなっているか調べるのところを思い浮かべて欲しい。私達がやっているのはそれと似たようなことさ。もちろん、ビートルズの曲を構成する要素は3つよりもずっと多い149種類だったけどね」


詳細なテクニックについては、2018年8月1日にバンクーバで開催される学会にて発表するとのことだが、とにかく凄い手間がかかったガチな方法っぽい感じはする。

・統計学的に『In My Life』はほぼジョン作

筆者も何を隠そうビートルズのファン。愛用の丸眼鏡もジョンをリスペクトしてのものだが、ファンの視点から気になるのは手法云々よりもズバリ「ジョンとポールのどちらが書いたのか」である。

これについて、とりあえず『In My Life』と『The Word』については前者がほぼ確実にレノン作、そして後者はマッカートニー作という結果がでているようだ。

『In My Life』については生前にジョンがインタビューで述べていたことと、後年のポールの発言内容に大きな食い違いがあったため、かつてニュースにまでなった。もし今回の分析結果が正しければ、ポールの記憶違いということになる。

・将来的には全ての曲の結果を公開する予定

先にも述べたとおり、詳細な内容については8月1日の学会で発表されるということ。しかし、将来的には全ての楽曲について分析を行い、その結果を発表する予定だということなので続報を待ちたい!

参照元:Eurekalert(英語)
執筆:江川資具
Photo:Wikimedia Commons.