東京医大で発覚した『裏口入学』が大きな話題を呼んでいる。この件には文部科学省の幹部も携わっていたことから国民的な話題まで発展しているが、思い起こせば「なべやかん」さんの “明治大学替え玉受験騒動” なども、当時は多くの報道がなされたものだ。

きっと「裏口入学なんて都市伝説でしょ?」とお考えの方も多いとは思うが、私、P.K.サンジュンにとって裏口入学は意外と身近なものである。なぜならば高校受験を控えた中学3年の夏、父から裏口入学をすすめられたからだ。

・25年前の話

記事を読んでいただく前にみなさんにご理解いただきたいのは、この話はもう25年ほど前の話だということ。コンプライアンスなどという概念はほぼ無く、良い言い方をすれば「おおらかだった時代の話」だと思ってご覧になっていただければ幸いだ。

さて、あれはとある日曜日だったと記憶している──。父の寝室に呼ばれた私は開口一番「ちょっとそこに座れ」と言われ、素直にそれに従った。この “父の寝室に呼び出されるパターン” は基本的にイヤな思い出しかなく「やべえ、なんかバレたかな?」と、私は冷静な表情を作りつつも内心はバクバクものだったのだと思う。

畳の上に正座した父は、腕を組みつつこう言った。


「お前、いま偏差値いくつあるんだ?」


……と。予想だにしない質問にうろたえつつも、私は「50くらい?」と正直に答えた。私は第一子であり長男である。つまり我が家にとっては初の受験生だったため「しっかり勉強しろ!」「絶対に高校に受かれ!!」とでも言われるのかと想像した。



だがしかし……。父は首をひねりつつ天井を見上げ、またもや予測不可能な答えを私に投げかけてきたのだ。


「50か……。56~7まで何とかできるか? ほら、お父さん〇〇高校に通ってただろ? ちょうどいま同級生が先生やっててさ。56~7あれば入れてくれるって言ってるんだよ。200万から300万渡せば入れるって言うけど、お前どうする?」


ど、どど、どうするもこうも──。父は中高大一貫教育の学校に高校、大学と通っており、その学校は今でもバリバリに存在する。私も最初は驚いたが「まあ、そういうもんなのかな?」と意外と冷静に『裏口入学』の実態を受け入れた。

ちなみに「当時、我が家の財政が傾きかけていたこと」そして「別にその高校に行きたくなかったこと」を理由に私は父の申し出を辞退。結果的には地元の公立高校に進学したのであった。もちろん実力で。

先述のようにこれはあくまで25年前の話であり、当然 今でも同じとは限らない。というか「そんな風習はとっくに無くなっている」と考えるのが自然だろう。ただかつては私が耳にしたような『裏口入学』もあるにはあったようだ。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.