コンサート会場における顏認証システム。昨年、チケット転売サイト問題と共に大きな話題になったことを覚えている人もいるだろう。日本ではスムーズな入場や、悪質な転売および不正防止などの効果が期待されているが、海外ではこんな事案が発生したという。

逃亡犯がライブ会場に逃げ込んだ! 5万人の観客のなかに紛れ、まさに「木を隠すなら森」状態。これなら捕まらないだろう……というのは前時代の話だった! 顏認証システムのおかげで秒速で発見、逮捕につながったというのだ。

・ライブ会場に公安が突入

事件が起こったのは、中国・江西省南昌市。2018年4月7日、現地では香港の人気歌手・張学友(ジャッキー・チュン)さんのライブが行われていたという。開始直後、5万人の観客がジャッキーさんに熱狂するなかで事件は起こった! 突然、数名の公安職員が舞台に駆け上がったのである!!

何かの演出? それともテロ!? 現場はピリっとした空気になったに違いない。すると公安は客席にいた1人の男を取り押さえ、連れ去って行ったのだ。

・顏認証システムで発見! 秒速で逮捕

なんと男は指名手配犯だった! ライブ会場に紛れ込み、公安の手をやりすごそうとしていたのである。たしかに5万人もの観客のなかに混ざってしまえば見つけ出すのは困難だ。ライブ終了後の混雑の中なら逃げおおせることも容易だろう。しかし、まさかの秒速での発見、逮捕と相成った。

男は見つかったことについて「ここなら安全だと思った」と相当驚いていたという。それにしても中国公安はどうやって彼を見つけ出したのだろう……それは顏認証システムだったのだ!

・進む中国の顏認証システム

入口に設置されていた顏認証システムを通過した際に、データベース上の手配犯の顏と一致。これが迅速な逮捕劇の決め手となったのだった。

現在、中国ではいたるところで顏認証システムが活躍している。鉄道の改札にATMでの現金の引き出しから、トイレットペーパーの盗難防止までさまざま。実用化における “先進国” だと言える。

海外メディアでは「とんでもない監視社会の到来だ」と危惧する声もあるものの、利便性が高いのも事実。今回の逃亡犯の逮捕劇もメリットが光った一例だと言えるだろう。

参照元:YouTube、揚子晩報RFI(中国語)
執筆:沢井メグ

▼男は逃走中の身でありながら、どうしてもジャッキーのライブに来たかったと話しているそう。顏認証のことを知っていたら来なかったとも