数年前から、「世界の食糧不足」の解決策のひとつとして、昆虫食が注目されているという。栄養価も高く、飼育や養殖にも家畜ほどコストがかからない。しかもウマイ♪ ……ということらしい。

だが何でもかんでも口にして良いかというと、それは違う。美味しく食べるには知識が必要だ。それを痛感したできごとがある。名付けて「神戸・生ナメクジ事件」である。

・ナメクジを食べてしまった

あれは私・沢井メグが4才かそれくらいの夏のことだった。場所は祖父の家。以前の記事にも登場した “パルプンテじじい” の家である。当時のジイさんちは、リアルに「六甲のおいしい水」が水道から出て来るような神戸の山側であり、自然いっぱい虫いっぱい。

そんな家で、私は一人で冷やし中華を食べていた。午前寝をしていて、私だけ遅くなったようだ。

その冷やし中華には、見慣れない茶色いものが入っていたのだ。祖父母んちのメシというと、いつも食べないものが入っているのが通例だ。幼児の脳はそれを「シイタケを甘く煮たやつ」と処理。

「わーシイタケ入ってる~」と思って、パクついた瞬間……ブンニュッ。

すごく、おかしな食感がしたのだ。ナメクジだった。

・予想外の事態に止まらない涙

奴は、まだピクピクと動いている。ということは、さっきまで命があったということだ。私、ナメクジ食べた、ナメクジ食べた、おかああさぁぁああぁぁーーん!

味よりも何よりも、とにかくショック。味覚もブッ飛び、ウマイとかマズイとか、そんなことより思考回路がショートショートの大炎上。泣くしかありませんでした。

それにしても、一体どこからやってきたのか……調理中の目撃情報などがなかったことから、恐らくナメクジは勝手口から入ってきて、たまたま皿の上に到達したものだと思われる。この神戸・生ナメクジ事件は、不幸な事故として処理されたのだった。

・生食はダメゼッタイ!

さてナメクジの食感を、冷静になって思い返すと、その舌触りはクリーミー。しかし、そのまろやかさとは裏腹に苦かったように記憶している。そして、ナメクジだと思うと、クリーミーさも「ああ、体液かな……」と思えてしまって、まったくポジティブには考えられない。

私の初の生ナメクジは完全に事故であったが、2回目は絶対にない。なぜなら、ナメクジの生食は危険だからだ。「広東住血線虫」という寄生虫がいる可能性があり、寄生虫が体内に入ると、髄膜脳炎を引き起こしてしまうそうだ。実際に国内でも死亡例が確認されているという。



だから、ナメクジの生食はダメゼッタイ!

厚労省などでも注意喚起がされているぞ。

ショックな上に、そんな危険なものとは知らなかったよ……皆さんもナメクジが野菜などにくっついていないか、よく確認しよう。

また、現在ナメクジは昆虫食の一種として注目されているという。昆虫ではないが、同ジャンルとして扱われてるようだ。でも生食は絶対にダメ! 食べるなら必ずしっかりと火を通そう。なお、火を通しても苦味はあるみたいだ。

参考リンク:厚生労働省国立感染症研究所
執筆、イラスト:沢井メグ