世の中には、言葉としてはあたり前に知っていても「実際には未体験なもの」が意外と多い。例えば多くの人は “ノーパンしゃぶしゃぶ” と聞いたことがあっても、体験した人はそう多くないハズだ。そして『闇鍋(やみなべ)』もそのひとつであろう。

闇鍋──。参加者が具材を持ちより暗闇の中で鍋を囲む「エンタメ系の鍋パーティー」といったイメージだが、実際に闇鍋をしたらどうなるのか? 今回は全参加者が初体験の闇鍋の様子をとくとご覧いただきたい。

・ふわっとした闇鍋のルール

おそらく「闇鍋」の存在自体を知らない人はほとんどいないハズだ。だが具体的なルールまで把握している人も極めて少ないことだろう。まずは私(P.K.サンジュン)がイメージする “闇鍋のルール” は以下のようなものだ。


・具材は各自が秘密で用意する
・具材は食べ物のみ(ダンボールとかはNG)
・暗闇の中で鍋を食べる
・一通り食べ終わったら答え合わせ


いかがだろうか? ふわっとしたイメージだと闇鍋のルールは、こんな感じではなかろうか? 今回は全員が闇鍋童貞だったため、正直「コレ!」という正解がわからなかった。なので基本的には上記のルールで闇鍋を決行したぞ。

・とんでもなくドキドキする

さて、全員に秘密で具材を用意するようお願いし、迎えた本番当日。もちろん、誰が何を用意したのかを知る由はない。鍋を囲む前からこのドキドキ感……! きっと松阪牛のすき焼きでさえ、ここまで緊張はしないハズだ。

今回はそれぞれの具材を調理人に預け、鍋が煮えた状態から暗闇に突入することにした。真っ暗な部屋に入ると、視界がふさがれているせいか嗅覚がやたらと敏感になる。鼻を抜けてくる香り自体は……食べられなくはなさそうだ。

そしていよいよ鍋を器に盛り付け、全員同時にいざ実食! ……んが、怖くて箸が進まねえ!! 怖いよ闇鍋、普通に怖いよ、不安で胸がいっぱいだよ。だが勇者が「大丈夫……食える」と発すると、それぞれが恐る恐る闇鍋を口にし始めた。


「なんかやたらドロドロしてる気が……」
「クリームシチューみたいな味がする」
「何この甘さ。ジワジワ甘くなる」
「肉が入ってませんか? あと米」
「おい、パイナップル入ってんぞ!」
「食えなくはない。でもウマくもない」
「いや、冷静に考えてマズイでしょ」


一言でいうならカオス──。ぶっちゃけ、何を食べさせられているのかほとんどわからない。ただ個人的には、とろみと甘さから「お子様向けの甘めのクリームシチュー」といった印象だった。なぜ鍋がシチューになったかはさておいて、明かりを点けて鍋の中身を見てみると……!


マズそぉぉぉぉぉおおおおおおお! 全然食いたくねぇぇええええええええ!! え、何これ? どうしてこんなにドロドロしてるの? てか普通にシュークリーム浮いてるじゃねーか! ふざけんなゴルァァァァァアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!

シュークリーム……鍋だと? 持ってきたヤツには往復ビンタをかましたい気持ちを抑えつつ、以下で7名が持ち寄った具材の正解発表と、その動機についてもご覧いただこう。

P.K.サンジュン →「吉野家の牛丼」

「どうせみんな外してくるから、メインになる具が不足するハズ。というわけで俺は肉、しかもオジヤとしても楽しめる牛丼をチョイスした。どう考えてもマズくなりようがないし、まさに一石二鳥。闇鍋には俺のような慈悲の心が必要だと思うね」

GO羽鳥 →「アジフライ」

「きっとみんな、ジャンクな食材で来ると思ったので、あえて魚をチョイスした。生魚だと普通すぎるので、ここはひとつフライで行くか……とアジフライに。世の中には “とんかつ茶漬け”ってのもあるし、汁物と揚げ物は合うのではないか……という期待を込めて」

佐藤英典 →「シュークリーム」

「甘いモノがあった方がいいなあと純粋に思った。カロリーメイトにしようと思ったけど、コンビニに手頃なプチシューがあったんで、コレがイイ! と即決。迷いはない

和才雄一郎 →「パイナップル」

「一見ありえないように思えるが、実は意外と合いそうなもの……という基準で探していたら、パイナップルに行き着いた。酢豚にも入ってる食材なんだから、鍋に入ってても何とかなるだろ、って感じ」

あひるねこ →「大福」

「鍋に入った餅が好きだ。餅きんちゃく、あれはいいものである。だからといって、闇鍋に普通の餅を入れるわけにもいくまい。だから大福にした。洋菓子よりも和菓子の方が、そこそこアリな気がしないだろうか」

原田たかし →「うまい棒(めんたい味)」

「普通の鍋にはならないだろうと予想していたので、思い切って挑戦しました。あとはアレンジの帝王、うまい棒のポテンシャルを知りたかったので。めんたい味は意外と合うかなという勝手な予想です」

中澤星児 →「とろけるチーズ(1年以上前に賞味期限切れ)」

「朝、冷蔵庫を開けたら、パリパリになった “とろけるチーズ” が目に入った。しかも2袋。賞味期限は2016年の6月と7月だ。以前、食べようと試みたことがあるが、火を通しても全くとろけなかった筋金入りの頑固者たち。私は、なんとか彼らをとろけさせてあげたかったのである」

「である」じゃねーよ。中澤のとろけるチーズは確かに食べ物だが、モラル的に考えれば完全にアウトな食材だろう。それにしてもスイーツ率の異常な高さ……! 7品中3品がコテコテのスイーツとは、そりゃ甘い鍋になるハズである。

また、ノドの奥に入っていないドロドロの正体は「うまい棒」と「大福」だったようだ。体験した今なら言える、甘いものとお菓子は鍋に合わないと……! お調子者たちが張り切るとロクなことにならないと……!!

とはいえ、決して食べられなくは無かった初めての闇鍋。「スイーツ禁止」のルールを設ければ、美味しい鍋になる可能性は高いのではなかろうか? 興味がある人は、ぜひ今シーズン中に闇鍋にチャレンジしていただきたい。もちろん、賞味期限切れの食べ物は無しで。

Report:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]

▼さあ以下で、闇鍋が出来上がるまでをご覧入れよう。ほんだしが入った鍋からスタート。

▼牛丼。余裕でイケそう。

▼パイナップル。まだアリ。

▼アジフライ。これもまだアリ。良心的。

▼大福。これだよ。ここターニングポイント。

▼シュークリーム。死亡確定。

▼うまい棒。ウマい予感がしない。

▼とろけるチーズ。賞味期限さえ切れてなきゃ……。

▼しばらく煮込むと……!

▼はい、ドーーーン!

▼キャァァァアアアアアアアアアアアア!!!

▼逆に闇じゃないと食べる気がしない。

▼それでもみんなで泣きながら完食しました。

▼だが食えなくはなかった。闇鍋の際は「甘いモノ禁止」のルールを設けることをオススメする。

[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]