スパ! いきなりだけど、日本では「野良ネコ」だとか「野良イヌ」って言葉があるみたいだな。人によっては、フンの被害にあっているかも知れないな。野良バトは平和だけど、被害っつったら、ゴミをあさる「野良カラス」のほうが大変かもな。

でも、オレたちマサイ族にしてみれば、フンだとかゴミあさりだとか、そんくらいの被害は被害のうちに入らない。オレたちが最も困っているのは、ごくたまに発生する「野良ゾウ」からの被害なんだ。それも、1発1発がキョーレツにデカい。

基本的には平和だ。でも、ごくまれに、ゾウさんたちが迷子になって、オレらのエリアに入ってくる。そんで、「あれ? あれ?」とウロウロしているうちに……

豪快に建物を破壊していくんだ。ゾウさんたちは図体がデカいだろ。だからこうなる。

つい先日に壊されたのは、オレの住むエリアじゃなく、ちょい離れた場所にあるマサイ族エリアのコンクリ施設の塀だ。こんな屈強な建造物でもグチャグチャなんだから、オレらが住む「マサイ式の家」なんて1発だぞ。

でも、村のまわりにトゲトゲのバリケードがあるから、そう簡単には入ってこれない。野良ゾウだけでなく、野良ライオンや野良キリンもシャットアウト。鉄壁の守りよ。

それはさておき、野良ゾウの被害で、一番キツいのは……なんというか、「人身事故」だ。ちょいとシリアスでナイーブな話になるからサラっとしか説明しないが、このマサイ通信が始まってからも、実は野良ゾウによって人間の子供が2人死んでいる。

家が集まる「村」にはバリケードがあるから安心なんだけど、そこを1歩でも出ちまったら、何が襲ってくるかわからない。外で遊んでいた子供たちは、野良ゾウのスピードから逃げることができなかったんだ。オレたちマサイ族が住んでいるエリアは、そんな場所。もしもゾウさんを見かけても、決して油断はしないようにな。オレセリ!

Report:ルカ(マサイ族)
超訳:GO羽鳥
Photo:RocketNews24.

▼大変貴重な野良ゾウ写真集

▼マサイ族のバリケードはこんな感じ(1:13〜あたり)

★こちらもどうぞ → シリーズ「マサイ通信