以前の記事で、JR新宿駅近くの路上で絵を売る男性がいたことについてお伝えした。芸術的感性を一切持ち合わせない私(佐藤)は、その絵の価値がわからない。500円で1枚購入してみたものの、絵の訴えんとすることがわからないのだ。

あれから約2週間後。絵について釈然としない私は、思い切って作家に意見を求めることにした。「あの絵の意味を教えて欲しい」──そう尋ねるために、再び彼のもとへと足を運んだのである……。

・絵を見てわかったこと

『パピルス「五円玉」』と名付けられたこの作品。絵心を1ミリも持ち合わせていない私だが、ひとつだけわかったことがある。それは……。

上手くはないということ。もっと言えば下手だ。私でももう少しマシに描けそうな気がする。これを売るということは、強い自信と何かメッセージがあるに違いない。おそらくあの『パピルス』は、作家が思い描く世界の住人なのではないだろうか。

きっと遠大な世界観があり、パピルスをはじめとする多くの住人たちの物語があって、その一部を描きだして販売しているのだろう。そうに違いない! というか、そう考えなければ、500円払ったことに納得できない……。


・仮説

それにしても、あの稚拙なタッチにはどういう訳があるんだろう。考えられることといえば……。私が遭遇した男性は、本当は高名な画家で、路上での販売も含めて「アート」だと考えているのか……。

それとも、販売していた男性が描いた作品ではなく、作家は何か事情があって、自ら絵を売ることができない状況にあるか……。考えは尽きないのだが、「これは!」と思う仮説がひとつ浮かんだ!!


・もしかしたら、こんな物語なのでは?

私の想像では、こうだ。彼にはお子さんがいて、将来画家になりたいという夢を持っている。だが、あまりにも幼いので、自分の絵を売ることができない。そこで父親である彼が、子どもに変わって路上販売しているのだろう。子どもの夢を叶えるために。そう考えると、あの稚拙な画力にも納得がいくというものだ。

私はその仮説をもって、彼に真実を尋ねることにした。

・彼はいるのか?

そして、以前に彼を見かけたJR新宿駅周辺の路上に行ってみると……。


いた! 雨の日は休んでいることもある彼。その日は幸い天候に恵まれているたためか、いた! ただし……いつものように絵を売っているのかと思ったら、足元に絵はない。何があったのか!? 

このあと、ついに彼の素性と、絵に隠された真実が明らかになる。次のページへGO!

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24