電車に乗ったら、とりあえず空席に座ってちょっと休憩。でもお年寄りや怪我をしている人、妊婦さんなどが乗ってきたら、もちろん席を譲りますよ! ……という人は多いはず。

だがしかし、この度、ある専門家が「電車やバスでは高齢者に席を譲らない方がいい」と主張したのだとか。え? 一体なぜ?

・なぜ高齢者に席を譲らない方がいいのか?

この発言は、イングランド公衆衛生局の顧問アドバイザーを務めるミューア・グレイさんによるもの。なぜ、お年寄りに席を譲らない方がいいのか? グレイさんは、その理由を医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル』に発表した論文でこう説明しているそうだ。

「私たちは歳を重ねるにつれ、休むのではなく、より活発に体を動かしていく必要があります。年老いた両親のためにと、階段を自動で昇降できる機械を取り付けたりしてはいけません。その代わりに、手すりを取り付けてあげて下さい」

「バスや電車でも、簡単にお年寄りに席を譲らない方がいいでしょう。立っていることは、高齢者にとって良い運動なのですから」

そう。グレイさんは、なにも意地悪で「席を譲るな」と言っている訳ではない。あくまでも高齢者の健康を考えての発言なのだ。この論文は「運動を行うことで、不必要な社会的介護費を削減することができる」と主張している。

・医師「高齢者はもっと体を動かすべき」

本件を報じた英メディア『The Sun』は、英イーストボーン・ディストリクト総合病院の整形外科医で、同論文の筆頭筆者であるスカーレット・マクナリーさんの以下の発言も紹介している。

「年老いてから病気が増えるのは、年齢のせいではなく、運動不足が理由です。より体を動かしていく必要があります」

たしかに足腰が衰えないように、日々なにかしらの運動を続けている高齢者は多い。黒柳徹子さんが、健康維持のために毎日スクワットを欠かさないのも有名な話だ。

・ネット上では戸惑いや怒りの声が

とは言え、運動が必要だからと、目の前に立つ高齢者を無視して席に座り続けるのも気が引けるもの。今回のグレイさんの発言に対して、ネット上では戸惑いや怒りの声が噴出している。

「バスが急停止したらどうするの? 立っている高齢者が転んで、骨折してしまう」
「ヨロヨロしているお年寄りにはどうしても席を譲っちゃうよ」
「私は腰に関節炎を患っている。立ったままだと痛いから、席を譲ってもらうととても嬉しい」
「人間には思いやりってものがあるだろう。必要としている人なら誰にだって席を譲り続けたい」

そんな中『Mail Online』に寄せられた次のコメントに、多くの賛同が集まっていた。あなたはどう思うだろうか?

「それでもやっぱり、お年寄りには席を譲るのがマナーじゃないかな。立っていたい人は、それを丁寧に断ればいいだけなんだし。思いやりに欠ける行動に対する言い訳はもう充分だよ」

ちなみにマクナリー医師によると、全ての成人が、最低でも週150分の “適度な運動” 、週2回の筋力・バランストレーニングを行う必要があるということだ。

参照元: The British Medical JournalThe SunThe IndependentMail OnlineThe Telegraph(英語)
執筆:小千谷サチ
Photo:RocketNews24.