本サイトでもう何度もお伝えしていることだが、毎月最終金曜日は「プレミアムフライデー」だ。働き方改革の一環で、15時に帰ってもいいとされる日。一部の大企業ならまだしも、ほとんどの中小企業ではそんなに早く仕事を切り上げられる訳がなく、またサービス業に従事する人たちには、ムリな話である。

2017年2月にスタートして約半年、「早く帰れる」や「帰れない」などが議論の対象になっていたのだが、最近では違った意味でこの言葉が使われているらしい。その意味とは?

・帰れないことを卑下

企業側の判断にゆだねられたこの取り組み。一部の大企業はスタートした段階から、15時帰社を推奨していたようなのだが、中小企業では月末の金曜日に早く帰ることなど、ほとんどできないのが現状。最初からムリな話なのである。

帰れないことを卑下して、ネット上では次のように「プレミアムフライデー」を使うパターンが目につく。

「プレミアムフライデーだそうです(笑)」
「プレミアムフライデーですって」
「プレミアムフライデーな人もいるらしい」

もはや、自虐ネタの象徴として言葉が活用されている向きがある。しかも学生は夏休みに突入しており、ただでさえ仕事と関係のない学生の間で、関心が失われつつあるようだ。このままでは、当初の目的であった働き方改革の後押しにならないのでは……。

・もしも自然消滅したら新たな問題も

このまま行くと自然消滅してしまう可能性もある。そうなっても、もともと早く帰ることができなかった人は何も変わらない。しかし問題なのは、早く帰れていた人たちが、月末金曜日の15時以降に働くパターンに戻れるかどうかだ。

ヘタをすると、15時以降の労働意欲が著しく減退し、やる気が起きなくなるかもしれない。そうなってしまった場合に、悪い意味で「プレミアムフライデー世代」とか呼ばれるようにならないか、心配である。

・黒歴史になるかも……

本来なら、プレミアムな月末の週末を過ごすための提案だったのだが、すでに「プレミアムフライデー(笑)」といった使い方をされてしまうのは、当初の目的に反しているはず。この提案をした人たちは、今頃どう思っているのだろうか? 安倍政権の黒歴史にならないといいのだが……。

参照元:プレミアムフライデー
執筆:佐藤英典