ここ最近、何かと話題になる日本音楽著作権協会・JASRAC。そのJASRACが、ボブ・ディランの歌詞の一部を入学式の式辞に使用、Web上に掲載したとして、京都大学に対し使用料を請求していると京都新聞が報じた。

この報道を受け、ネット上には様々な意見が飛び交っているが、気になるのは「ボブ・ディランにいくら支払われるのか?」ということ。そこでJASRACに直接電話をして、その辺りをズバリと尋ねてみたのでご覧いただきたい。

・HPへの記載が問題

今回JASRACが請求を行ったと報道されているのは、京都大学のホームページに掲載されている「式辞」についてだ。2017年5月19日現在、同大学のホームページにて確認できるが、なるほど、確かにボブ・ディランの名曲『風に吹かれて』の一部が記載されている。

ネット上では「これで金儲けしてないのに何なの?」「JASRACは大学のHPまでつつくようになったのか」「やりすぎ」などの声が挙がっているが、ボブ・ディランに支払われる料金が明確になれば「じゃあ……仕方がないか」と納得する人も多いハズ。というわけで、JASRACに問い合わせてみることにした。

──京都大学の式辞の引用の件でお尋ねしたいのですが、よろしいでしょうか?

「はい、でも1ついいですか? 京都大学にこの件でまだ請求は行っていません。報道が間違っています。あくまで許諾の手続きをして下さい、と連絡しただけです」

──なるほど、まだ請求はされていないのですね。では、実際に京都大学に請求することになった場合、いくら請求するのでしょうか?

「今回は複製権と送信権の問題になります。送信権だけで言うと、教育機関ですので、ダウンロードできないストリーミング配信であれば1曲あたり月300円、年間2400円となります。そんなに高くないんですよ」

──ふむ。では複製権はどうなるのでしょうか?

「今回の件は外国の曲なので多少イレギュラーで、複製権については我々が決めるものではありません。ボブ・ディランさんの曲というと、ボブ・ディランさんだけが所有していると思われがちですが、そうではないんですね」

──様々な組織や利権関係が絡んでいるということですね?

「そうですね。その代表をして “音楽出版社” が値段を決めるので、複製権について我々がいくらだと決めるものではありません。そのため、直接ボブ・ディランさんにいくら支払われるのかはわかりかねます」

──では、複製権についてJASRACさんは利益ゼロなのですか?

「……いや、“風に吹かれて” に関して我々が窓口となっていますので、手数料をいただきます。不動産で例えると、著作権の持ち主がオーナー、我々が仲介会社で手数料をいただく形になります」

──その仲介料はいくらになるのでしょうか?

「今回はそもそも “音楽出版社” による価格が定まっていませんので、お答えしかねます」

……結局、ボブ・ディランにいくら支払われるかは、具体的にわからなかった。

先述のように、アーティストサイドにいくら支払われるかが明確になれば、一連の件に納得できる人も多いハズだ。一体、手数料などでJASRACはどれだけ収益を得て、アーティストサイドにはいくら支払われているのか? まずはそこを明瞭にすることが先決だと思うのだが、あなたはどう思うだろうか?

参照元:京都新聞京都大学JASRAC
Report:P.K.サンジュン
イラスト:RocketNews24.