狭い座席、迷惑な乗客、混んでいるトイレ……「空の旅」と言えば聞こえが良いが、素敵なことばかり起こる訳ではないのが飛行機だ。だからこそ、美味しい機内食を “心の拠り所” にしている人も多いはず。

しかし、その機内食が「バナナ1本」だけだったら、どうだろう? “そんなバナナ” だなんてダジャレを言っている場合ではない。実際に、全日空(ANA)に搭乗した男性が「バナナ1本だけの機内食」を出されて激おこだというのだ。

・グルテンフリーの特別機内食を頼んでいた男性

2017年4月20日、羽田発シドニー行きの ANA便に搭乗したロンドン在住のマーティン・パヴェルカさん。小麦などに含まれるグルテンが原因となる自己免疫疾患 “セリアック病” を患っている彼は、事前に「グルテンフリー」の特別機内食を頼んでいたそうだ。

「特別機内食」とは、健康上や宗教上の理由で食事制限のある人向けのメニュー。ANA の公式サイトでも、ベジタリアン向けやイスラム教徒向けなど、様々な特別機内食が紹介されている。写真を見る限り、どれも美味しそうだ。

・男性「言葉も出なかった」

ところが、パヴェルカさんに提供されたのは「バナナ1本」だけ。他の乗客がパンやヨーグルト、ソーセージなんかの英国式朝食を楽しむ中、フライトアテンダントが “特別メニューです” と、バナナ1本を載せたトレーを差し出したというのである。

パヴェルカさんは、「驚いて言葉も出ませんでした」と海外メディア『Evening Standard』に対して語っている。フライトアテンダントにも「何かの冗談?」と質問したそうだが、「申し訳ありませんが、これがグルテンフリーの機内食なんです」という言葉が返ってきたとのこと。

・1回目の食事はボリュームのあったのに……

「たしかにグルテンフリーのメニューかもしれないけれど、バナナ1本だけでは9時間ものフライトに耐えられるはずがない」と怒るパヴェルカさん。

ただし、この「バナナ1本」は、フライト中2回目の食事。『Mail Online』によると、離陸1時間後にすでにボリュームのある食事が提供されていたようなので、9時間のフライトでバナナ1本だけという訳ではなさそうだ。

様々な航空会社のグルテンフリーの機内食を食べてきたパヴェルカさんは、「味気ない機内食もあれば、豪華な機内食もある。でもバナナ1本だけなんて初めてだ」と語っている。

・ANA「バナナ1本だけは配慮に欠けていた」

ANA はすでにパヴェルカさんに謝罪したもよう。「2回目の機内食は、到着2時間前に提供された。軽食だった」と説明しながらも、「このような長時間フライトで、バナナ1本の食事内容は配慮に欠けていた」とし、グルテンフリーの特別機内食の内容を見直すと述べているそう。

たしかにバナナ1本の機内食はガッカリだが、ネット上では「私もセリアック病だけど、飛行機に乗る時は念のためスナックを携帯すべき」「ワガママだ」などパヴェルカさんを非難する声も聞かれる。

ただ、パヴェルカさんが不満を感じた背景には、「1200ポンド(約17万円)も支払ったフライトなのだから、もうちょっとマシな機内食を期待していた。格安航空会社とは違うのだから」という気持ちもあるようだ。さて、あなたが彼の立場だったら、どう感じるだろうか?

参照元:Evening StandardMail Online(英語)、ANA 特別機内食(スペシャルミール)
執筆:小千谷サチ
Photo:RocketNews24.
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