東京・代々木に、「東京の九龍城」と呼ばれる建物があるのをご存じだろうか? その建物とは、以前に本サイトで紹介した「名前のない寿司屋」がある、代々木会館だ。なお、その寿司屋ではいまだに1貫10円のサービスメニューを提供している。

それはさておき、この建物の2階から上はほとんど廃墟と化しており、取り壊しの噂も以前からある。だが、3階には営業を続けている書店があるのだ。中国書籍専門のお店とのことなので、私(佐藤)は昔から探している漫画を探しに行ってみた。

・長年人の手が入っていないのでは……

建物の外観を見る限り、上層階に人がいる気配を感じない。サビとススにまみれているところから、長年放置されてきたようだ。

建物の1階にある『きぬちゃん食堂』の入り口の方には、「PACHINKO B1」の看板があるが、地下へ通じる階段がどこにあるのかさえもわからない。

・2階の飲食店街は

「2階飲食店街」の黄色い看板の下に木の扉があり、その向こうの階段を上ると、3階の東豊書店へと行くことができる。階段を上がってみると……。

在りし日の飲食店街の名残り。踊り場に飲食店の看板が掲げられている。もしかしてまだ営業しているのか?

残念ながら2階の入り口は鉄扉で固く閉ざされている。きっとその昔、この扉の向こうは多くの人でにぎわっていたのだろう。

さらに上っていくと、3階へと続く階段の踊り場に「東豊書店」の看板と「大量のダンボール」を発見。おそらくこのダンボールの中に、本がギッシリと入っているのではないだろうか。ようやく3階に着くと、店前には床から天井まで本が積み上げられていた。唸るほどの書籍の数である。

しかしこれでさえも、書店の在庫のほんの一部。店内にはさらに大量の書籍の山が、所狭しと積み上げられているのである。

・おびただしい数の本による迷路

店内は迷路だ。大量の本が床から生えているかのように、天井まで隙間なく積み上げられている。狭い通路は1人が通るのがやっと。他の客が居たら、すれ違うことができない。積み上げられた本の山の、下の方に読みたい本を見つけてしまったら、本当に大変だ。どうやって上の本をどけて、下の方を取ったらいいのかわからない。

・台湾の漫画を探して

私がここを訪ねたのには、訳がある。小学生の頃に暮らしていた地域に、台湾人の留学生と思われる若い2人が住んでいた。彼らに台湾の漫画を見せてもらった記憶があり、いつかその本を探し出したいと思っていた。きっとここならあると思い訪ねたのだが、数万冊の山から探し当てるのは困難。

そこで店のオヤジさんに尋ねると、漫画らしい漫画は置いていなかった。その代わりに、オヤジさんは中国の児童書のようなものをすすめてくれたのである。

残念ながら私は中国語を理解できないので、何を書いてあるのか、正確に読み解くことができない。しかし、画のある本なので、見て多少は楽しむことができる。特に、文様のデザインを紹介する本は、興味深いものを感じた。

中国や台湾の本を探している人は、一度訪ねてみるといいかも。ただし、用もないのに建物に入ると怒られるので要注意だ。

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

▼夜の代々木会館。結構不気味……

▼購入した本。児童書と文様の解説本のようだ