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ここ数年、日本と台湾の間にはかつてない親日&親台ムードが漂っていると言われているが、いま日本のある番組が台湾で物議を醸しているのをご存知だろうか?

先日、フジテレビで放送された番組が、「捏造して台湾文化をバカにした内容を放送した」として批判を浴びているのだ。その件に関し、取材を受けた台湾人が抗議、制作会社が謝罪する事態にまで発展している。

・フジテレビの『やっちまったtv』が物議

問題視されている番組は、2016年8月7日にフジテレビで放送された『やっちまったtv』だ。番組内では「パチモンGO」という特集で、「台湾にあるおかしな日本語、変に伝わった日本文化」を紹介。

謎の日本語が書かれた商品や、アンパンマン風味のキャラ、ヤクルト緑茶、そして牡蠣貝をトッピングしたカキ氷などが取り上げられていた。

・捏造だと炎上

確かに、台湾では謎日本語の商品や看板がないわけではない。ヤクルトとお茶を混ぜたヤクルト緑茶だって、「ええー!?」と思う日本人も多いだろう。これは実際に飲んでみると、結構おいしいので一度試してみてほしいと思う。

──それはさておき。現在、とくに物議を醸しているのは「牡蠣のカキ氷」のくだりだ。カキ氷の上に豪快に牡蠣がトッピングされている名物で、番組内では店主の台詞が「カキ氷だから牡蠣をのせている」という旨の日本語吹替音声になっていた。そして、「ウソだろ!?」「パチモン認定!」的な流れで、番組は進行していった。

これを見て「あれ?」と思った人もいるに違いない。たしかに日本語では「カキ」と「カキ氷」は同じ音だが、北京語(国語)では別の音で1ミリもかかっていないはず。

筆者もこの番組を見ていたところ「何だ、この日本語的発想?」と違和感を覚えていたのだが、どうやらこの点が “捏造” であったというのだ。放送内容が台湾でも知られると、事実と異なるとして炎上状態となった。

・店主はパチモンと紹介されるとは知らなかった

『AppleDaily台湾』によると、取材を受けたカキ氷店『王者之蚵』の店長・荘さんは当初グルメ紹介と聞いていたとのこと。 “日本語で客の目を引くパチモン” として紹介されるとは知らなかったという。

そもそも、日本語で「牡蠣」とカキ氷の「カキ」が同じ音というのも後から知ったそう。画面には、あたかも客引きのために店に貼られたような日本語の「カキ氷アリマス」という張り紙が映し出されていたが、これは番組スタッフが貼っていったものなのだとか。

・プロデューサーが謝罪

後日、放送内容を知った荘さんは抗議。すると、制作会社のプロデューサーから謝罪文が送られてきたそうだ。公開された謝罪文には、番組の意図は台湾における間違った日本語の看板や認識を紹介するものだったと説明したうえで、

「決して台湾のみなさんや文化を否定する意図はございません。しかしながら、結果的にみなさんの感情を害してしまったことは、大変申し訳なく思っております。今後このようなことがないように気をつけてまいります(謝罪文より引用)」

と記載されていた。

・日台関係に影響とも報じられる

荘さんは、面白可笑しく取り上げられることはやぶさかではないようだが、このような本来の形ではない紹介のされ方は不本意とお怒りの様子だ。また「台湾全体のイメージと、日台間の感情を傷つけた」「フジテレビが傷つけたのは私たちだけでなく、台湾全体だ」と、事の重さを言葉にしている。

また、台湾メディアでも「日台感情にひどく影響するもの」などと厳しい口調で報じられており、台湾ネットユーザーからは「謝罪になっていない」と辛らつなコメントが寄せられていた。ただ、日本からも批判が出ているとフォローする声もあがってはいるが、一定の信用は失ったと言っていいだろう。事態は思った以上に深刻なのかもしれない。

参照元:YouTubeFacebookAppleDaily台湾聯合新聞TVBS(中国語)
執筆:沢井メグ

▼現地報道

▼こちらの動画で、日本語の謝罪文も公開されている

▼8月9日にYouTubeで公開されたニュース動画。放送からわずか2日で「吹替音声が事実と異なるのでは?」と指摘されていた