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優先席。電車内で流れているアナウンスによれば「お年寄りや妊婦、乳幼児をお連れの方、体の不自由な方」に譲るべき座席である。電車やバスで通勤・通学している方は、どんな状況で優先席に座るだろうか?

実は最近、記者は “わざと” 優先席に座るようにしている。さらに言えば、特定の人にもそうするよう勧めている。今回はその理由について説明したい。

・基本的には座らない

これまで記者は相当空いていない限り、電車に乗っても席そのものに座らなかった。足腰はまだ丈夫だし、それで死を感じるほど体力は衰えていない。新幹線などを除けば、8:2くらいの比率で立ったままで電車内を過ごしていた。

さらにいえば、電車内が少しでも混んでくれば黙って他の車両に移動していたし、それらしき人を見かけたら100%の確率で席を譲れる。それは車内に限ったことではなく、乗車口付近でベビーカーを見かければ手伝えるし、階段で重たそうなスーツケースを持っているお年寄りや女性にも迷いなく反応してきた。つまり記者は「絶対に席を譲れる人」なのだ。

……と自慢ぽくなってしまったが、主題はそこではないし、別に大層なことをしているつもりもサラサラない。問題はそんな記者がなぜ「わざと優先席に座るようになったか?」である。

・妊婦さんに言われたこと

ここ数年、身内や知り合い数人が妊娠した。彼女たちによれば、どうしようもなく体がツラいときでも席を譲ってくれる人は、ほんの、ほんのわずかだというのだ。マタニティマークを付けていようと、お腹が大きかろうと、信じられないくらい席を譲ってくれないという

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しかも、席を譲ってくれる人のうちの大半は「近年出産を経験した女性」といい、妊娠中の大変さを生々しく覚えている人たちらしい。さらに妊婦同士のコミュニティによれば、「妊婦だからってエラそうにするな」「大変なら出歩くな」「自分たちが勝手に作ったくせに」……などと、心無い言葉を投げつけられることすらあるというのだ。

全く信じられない話であるが「でも俺は100%譲るけどね」と言ったところ、こう反論された。「そういう人こそ立ってないで優先席に座るべき。本当に優先席が必要な人のために席を確保しておくべき」と。

なお、「優先席ではなく普通席で同じことすれば?」という意見もあるかと思うが、彼女らによれば席を必要としている人は自然と普通席ではなく優先席付近に集まるという。普通席付近に立っていて「優先席行けよ」と言われたこともあるらしい。

・優先席を確保するため

そんな考えがなかった記者にとっては目からウロコものの一理ある話であった。以来、優先席に座りつつ、優先席に座る他の乗客を観察しているが、なるほど、お疲れなのはわかるが眠りこけている人、スマホに夢中で目の前の人に気付かない人……など席を譲れない人が非常に多い

別に聖人君子ぶるわけではないが、普通席ではなく優先席くらいは「必要としている人」に譲ってもいいのではないかと思う。2020年の東京オリンピックを引き合いに出すまでもなく、「おもてなしの国」といわれる日本。電車内を見る限り、残念ながらそうは思えないことが多い気がする。

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.

▼絶対に譲れる人は優先席に座ろう。ちょっと視線が痛いけどね。
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▼これがマタニティマークだ。覚えておこう。
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