博物館級のレトロアーケードゲームから伝説級のタイトルをよりすぐり、入場料だけでフリープレイ!という号泣モノの太っ腹イベントが、目立たず、ひっそりと行われているのをご存知だろうか。
埼玉県が誇る「SKIPシティ彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム」で開催中のレトロゲームイベント「あそぶ!ゲーム展 – ステージ1:デジタルゲームの夜明け」は「実物プレイ」にこだわった異色の展覧会。ガラス越しに眺めるだけでなく、聖なる存在だった憧れのレアマシンを入場料のみで遊び倒せるという見逃せない内容。
実はこれ、昨年秋から催されている息の長いイベントだが、あえてじっと我慢。終了日の2016年2月28日が迫った平日の昼下がり、サラリーマンに真似できない反則タイミングでふらりと突入すると、そこには桃源郷が! てなわけで、この素晴らしさを未だ見ぬファンに伝えるべく緊急報告!
・こういうイベントって、混んでるのが相場なのだが!
聖地というのは世間から隔絶された場所にあるものだが、会場の「SKIPシティ」も、JR西川口駅からバスに乗り換え15分。歩くと30分以上かかるちょっと不便な場所にある。
バスを降りると、2階建ての民家が立ち並ぶのどかな景色の向こうに、だだっ広い巨大施設がドォォォォンンンン。510円のチケットを買い、昔の映写機やテレビカメラ等が展示されたエリアを通過する。そう、ここはあくまで映像ミュージアム。映画やテレビの歴史が本流で、ゲーム企画展は最深部で行われているのだ。
ハイ、ようやく辿り着きました! イヤーッ。私の読みがまさに的中。プチ不便な会場、平日の昼下がりという微妙な時間。さらに寒さという条件が惑星直列のように重なり、人影はまばら……。ガッラガラだったのだ!
・よりどりみどり! 伝説をやり尽くせ!
まずは映像出力にオシロスコープを用いた世界初のコンビュータゲーム「テニス・フォー・ツー(1958)」、世界初のアーケードゲーム「コンピュータースペース!(1971)」の貴重な実機にため息。私も相当古くからゲームやってるが、ホンモノみたのはこれが初めて! さすがにこれだけは希少過ぎてどちらも展示のみだが、隣にエミュレータがあるのでプレイも可。ま、正直あまり面白いものではないけど、ファラオのミイラを生で見たような気がして大興奮!
インベーダー以前にアメリカで一世を風靡したアタリのテーブルテニス「ポン(1972)」は実機プレイが可能。二人用なので一人だと相当虚しいが、このエリアには当時、日本にごく少量しか入っていない激レア作品「マンイーター(1975)」や「デスレース(1976)」などの実機も展示してあった。
スペースインベーダー(1978)は、テーブルとアップライトと2タイプの筐体が用意され、製作者である西角友宏氏のインタビュー映像や必勝本なども展示。奥には「スクランブル(1981)」「クレイジー・クライマー(1980)」「ニューラリーX(1981)」「ムーン・パトロール(1982)」はじめ、80年代の名作が勢揃い。むろんフリープレイだ!
とはいえ、一部の専用筐体はステアリングをグルングルン回したり、レバーをガシガシせねばならず、手荒く扱うと実機にかなりの負担がかかる。状態を維持すること自体が難しいこれら骨董ゲームがフリープレイという太っ腹企画をこれからも続けてもらえるよう、くれぐれもお手柔らかに、やさしく遊んでいただきたいものだ。
てなわけで、2月末日の終了日まで残すところ2週間ちょっとだが、会場全体に漂う贅沢なゆったり感が半端じゃない! 未体験の皆さんは、この貴重なチャンスをみすみす逃さないでくれ!
・今回ご紹介したイベントの詳細データ
イベント 遊ぶ!ゲーム展 デジタルゲームの夜明け
会場 SKIPシティ 彩の国ビジュアルプラザ 映像ミュージアム
住所 埼玉県川口市上青木3-12-63
交通 JR西川口駅からバスで約15分
時間 9:30〜17:00(入場は16:30まで)
休日 月曜(祝日の場合は翌平日)
Report : クーロン黒沢
Photo : Rocketnews24.
▼解説にも気合が入ってたぞ!
▼美しいコンピュータースペースの筐体
▼創世記のゲーム基盤。スカスカ感がすごい!
▼画面は果てしなく簡素
▼スティックレバーの類もなし。暗中模索の時代だ!
▼二人で行くことをオススメします……
▼シフトチェンジもある鬼ムズのドライブゲーム
▼世界的に貴重とされる作品も……
▼やさしく扱ってね!
▼スペース・インベーダーの作者、西角友宏さんが動いてる!
▼もちろんフリープレイ。3回やっちゃった。
▼必勝本が出た初めてのゲームかも
▼貴重な設定資料も展示されていたよ!
▼目頭が熱くなる平安京エイリアン
▼「あの」映画にインスパイアされた大型筐体が!
▼内容はノーコメント。こういうの出しても、誰も何も言わなかった。
▼ベクタースキャンの歴史作「スペース・フューリー(1981)」
▼こちらも私の好物。ベクタースキャンの名作「テンペスト(1981)」
▼こんな感じでよりどりみどりだったよ!