紛争が始まって4年半になるシリア内戦から逃れ、ヨーロッパを目指す難民の悲しいニュースが後を絶たない。紛争で家族や友人を失い、祖国を離れて難民となった彼らの旅路は、想像を絶するほど厳しく辛いものがあるだろう。

そんななか、シリア人ロッカーが苦労の末たどり着いたヨーロッパでツアーを敢行し、人々に感動を与えている。借りた楽器で演奏する彼らは、音楽を通じて人々と一体となり、「人間はあくまで人間で国籍は関係ない」と語っているのだ。

・到着した島でいきなりCDを配り始めたシリア難民


2015年9月、16人のシリア人男性を乗せたゴムボートが、ギリシャのレスボス島に打ち上げられた。地元民が慌てて助けに駆け寄ると、そのうちの3人がいきなりCDを配り始めたという。

そのうちの一人アナス・マハレビさんは、シリアのダマスカスで結成されたバンド「Khebez Dawle」のメンバーだ。しかし、バンドのドラマーが殺され、シリアは音楽を作るべき場所ではないと悟り、祖国を離れることを決意したのだ。

・地元の人々の助けでライブを敢行!

レスボス島を後にしたアナスさん達は、最終目的地であるドイツを目指す前に、難民登録の手続きで、しばらくクロアチアでの滞在を余儀なくされることとなる。

そうするうちに、地元の人々と交流するようになった彼らは、「楽器を貸すからライブをやらないか」と声を掛けられたのだ。こうして、クティナ市でのライブを成功させたバンドは、クロアチアの首都ザグレブとドイツのウィーンでも演奏し、難民としての旅路をロックツアーに代えてしまったのである。

・人間はあくまで人間で、国籍は関係ない

音楽を通じて、人種や国籍を超えて人々と一体となれた喜びを感じたというアナスさんは、「すでに私は、パスポートや書類といったバカげた物への信用を失いかけています。ですが、人間はあくまで人間なのだと実感させられ、国籍は関係ないのです」と、心に響くコメントを残している。

10月上旬に、目的地であるドイツのベルリンに辿り着いた一行は、落ち着き次第、音楽活動を再開するつもりだそうだ。

生きてシリアからヨーロッパへ逃れられ、地元民に温かく迎えられたアナスさん達は本当にラッキーだ。難民のなかには逃避行中に命を落とした人も大勢おり、難民受け入れの風当たりが強い国では、歓迎とは言い難い待遇を受けている人達もいる。

これからも、シリア難民受け入れに関するニュースを耳にする機会が増えそうだが、一刻も早く、彼らが安住の地を見つける日が来ることを願いたい。

参照元:Facebook[1] [2]YouTubeMashable(英語)
執筆:Nekolas

▼アナスさんのインタビューとバンドを紹介した動画はこちら

▼バンド「Khebez Dawle」の音源