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2014年8月にアメリカの警察官によって黒人青年が射殺された事件は記憶に新しいが、2015年3月1日、再び警察官がらみの事件が起こった模様だ。

日曜日の昼下がり、ロサンゼルスの街角で発砲音が響き渡ったのだ。それは……ロサンゼルス市の警察官が1人のホームレスを射殺したもの。その様子を収めた動画が、ネット上にアップされて以来、多くの人々から米警察に対して非難の声が上がっている。

・抵抗する男性に警察が発砲

1人の黒人男性を数人の警察官が取り囲む場面から始まる、動画『LAPD shooting a homeless man. 03.01.2015』。警察官に対して抵抗を見せる男性だが、すぐに数人がかりの警察官に組み敷かれる。

拘束されながらも抵抗を続ける男性。ところが動画が始まった20秒あたりで、突然、発砲音が響き渡る。その数、5回。すぐに周囲の目撃者たちからは、悲鳴と怒号が噴出。「なんてこった! 警察が、あの男を殺しやがった!」と……。

・病院に搬送されるも、男性は死亡

その発砲の後、男性の抵抗は止む。それどころか、その体はピクリとも動かない。倒れたままの男性に向かって、拳銃を向け続ける警察官。周囲からは「なんで殺したんだよ!」と警察を非難する声が聞かれる。しばらくして、警察官たちは倒れたままの男性に手錠をかけたのだった。

その後のロサンゼルス市警察の発表によると、この男性はすぐに病院に搬送されたものの、命を落としたということだ。確かに男性は抵抗した。けれども発砲にされるほど危険な抵抗だっただろうか? 動画を見た限りではそうは思えない。

・男性は警察の拳銃を奪っていた?

この事件の目撃者数名に話を聞いた LA Times は、この動画からでは分からない、様々な背景を報じている。 “アフリカ” という愛称で呼ばれ、ホームレスだったこの男性は、射殺される前に路上のテント内で誰かと言い争っていたという。

そこに出現した警察官に、外に出るように命令されたものの男性は拒否。すると警察官は、スタンガンの一種であるテーザーガンを使用し、彼を外に引きずり出したのだった。

それから、動画にも収められているように警察官との “いざこざ” が始まるのだが、その混乱の最中にホームレスの男性が警察官の拳銃を奪ったという目撃証言も出ているようだ。また、1人の警察官が「彼は俺の拳銃を持っている!」と叫ぶ声を聞いたという目撃者もいるとのこと。

・ホームレス問題のこじれ?

また以前から警察は、“アフリカ” と呼ばれるホームレス男性の元にやって来ては、「テントを撤去するするように」促していたことから、ある男性は「テントの問題から、こんなにも悲しい事件に発展したのでは……」と話している。

ネット上ではすでに「またか」「怒りしか沸いてこない」「信じられない」と警察官の対応を非難する声ばかり。現在も捜査を進めているロサンゼルス市警察だが、事件の “本当の背景” は明らかになるのだろうか?

参照元:YouTubeFacebookLA Times(英語)
執筆:小千谷サチ

▼ショッキングな映像が映っているので閲覧注意だ