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♪ババンバ バン バン バン〜 といえば、ザ・ドリフターズの名曲『いい湯だな』だが、お風呂は自分が浸かっていなくてもイイ気分になる。それを如実に感じさせるのが、ひとん家のお風呂の香りである。

その香りと遭遇できるチャンスタイムは20〜22時。いわゆるゴールデンタイムにひと様のお宅の前を通過する際、ふいに鼻をなぶるあのシャボンの香りは、外にいる者をも至福のバスロマンに誘うのである。あれは一体なんなのか。

・ライオンズマンションのお風呂の蛇口はマーライオンなのか

筆者が思いがげない “バスロマン” と遭遇するのは、ライオンズマンションに住む友人宅からの帰りであることが多い。エレベーターに乗り込むべくマンション内を歩いていると、不意に一帯を虹色のシャボンの香りが包む。

途端に頭の中は湯けむり漂う沐浴場に様変わり。目を閉じると、脳内浴場ではマーライオンの口からとめどなく湯が湧き出している。さすがはライオンズマンションだ。

・自分ん家のお風呂ではそれほど “特別感” は感じない

ところが不思議なことに、自宅で自らが入浴している際というのは、意外と香りの癒し効果の実感が薄い。なぜだ……。ライオンズマンションの廊下では、あたり一面がテルマエ・ロマエだったのに、なぜ我が家のお風呂は普通のお風呂なのか。

そんなにすごいのか、ライオンズマンションは⁉︎ だが、当のライオンズマンションの友人にこの話をしても、「ん? うちのお風呂も普通だよ〜」とのこと。どうやら秘密はもっと別の次元にあるらしい。

・もう一つのエンカウント・ポイント

そこで、ふと筆者が思いがげない “バスロマン” と遭遇する、もう一つのポイントを思い出した。──それは、シャワールーム完備の漫画喫茶である! ある昼下がり。カラオケやシャワーなどを完備した漫画喫茶にて、お手洗いに立ち寄った際のことだ。

お手洗い自体もとても清潔感漂う居心地のよい空間であったが、筆者が手を洗っていると、突然トイレの芳香剤とはまったく異なる、圧倒的清潔感漂う “バスロマンの香り” がなだれ込んできたのである! 

どうやらどなたか、隣接するシャワールームを使用中のようだ。やはり、一瞬にして辺り一面テルマエ・ロマエ。至福の香りが筆者を包んだのであった。

・“バスロマン” への憧れは自分の汚れ具合に比例する

そして私は一つの結論に至った。思いがげない “バスロマン” の飛来……。これは、「現在の自分が、いかにお風呂場と程遠い環境に身を置いているか」を物語っているのである。

漫画喫茶で友人とカラオケにふけっている私は、絶賛発汗中だし、夜、友人宅からの帰宅過程にある私も、1日分の汚れを背負っている。自身の汚れが、 “バスロマン” への憧れをより強く実感させるのである。

・番外編:自宅のお風呂とは要するにマンネリ状態

なお、銭湯・温泉・友人宅……などの、自宅以外のお風呂に入る際の “特別感” も、同様に “バスロマン” だ。使っているシャンプーやボディソープの違いが新鮮で、湯上りの自分がいつもよりイイ匂いな気がする。むしろ同じものを使っていてもイイ匂いだ。

隣の芝生が青く見えるように、ひとん家のお風呂もイイ匂いに感じる……。つまり、自宅のお風呂とはマンネリ状態ということだ。自宅のお風呂との関係を改善したければ、「しばらく入らない」しかないのかもしれないが、それに伴うリスクの大きさの割に、得るものは少ない。判断は各自にお任せする。

執筆:DEBUNEKO
Photo:RocketNews24.
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