Breaking Bad ted

癌(がん)を宣告された余命わずかな高校教師が、愛する家族のために危険なサイドビジネス、スーパードラッグの精製に乗り出すブっ飛び衝撃作『ブレイキング・バッド』。

主役ウォルターの爆走ぶりに竜巻のように巻き込まれていく登場人物達は、ひとクセもふたクセもあるヤバ系な個性派キャラばかり。そんななか、あまりに普通なため何気に目立っていたのが、ウォルターの妻スカイラーの不倫相手テッドだ。そこで今回は、セクシーな中年男テッド・ベネキーを演じたクリストファー・カズンズにスポットライトを当ててみたい。

・ちょっと存在感の薄いテッドがキメたシーン

スカイラーの仕事の上司であるテッドと彼女は、以前から惹かれ合っていたのは明らかだった。家族に内緒で、ドラッグビジネスに足を踏み入れたウォルターとの関係がギクシャクし出したスカイラーは、テッドと不倫関係に……。

いかにも不倫が似合いそうな点以外は、見るからに普通のサラリーマンのテッドだが、実はかなりの額を脱税していた悪い奴でもある。それなのに、キョーレツにインパクトが強い他のキャラに比べたら、やはり彼の存在感はチョット薄いと言わざるを得ない。

しかし、そんなテッドが最後の最後にガッツリとキメてくれたのが、敷物に足をからませてコケた挙句に、首の骨を折ってしまうシーンだ。

・首を折るシーンは “オレンジ” に深い意味があった!!

テッドの会社の会計士として勤務していたため、脱税に加担していた罪で共犯扱いされることを恐れたスカイラー。そこで、ウォルターのドラッグマネーで脱税額を支払おうと、弁護士ソウルの用心棒にテッドを監禁させて、国税庁当ての小切手にサインさせようとする。

その場から逃げようと慌てたテッドがコケて首を折ってしまうわけだが、彼がテーブルに突っ込んだ際、テーブルに載っていたオレンジが数個床に落ちるシーンがあった。何気なく使われているオレンジだが、実は深~い意味があったのだ!!

というのもオレンジは、“暴力と死” を象徴する果物だと言われており、映画『ゴッドファーザー』シリーズでも効果的に使われているのである。マフィアのドン、ヴィトー・コルレオーネが撃たれる時と息を引き取るシーン、そして5大ファミリーの会合にオレンジが登場しているのだ。

『ブレイキング・バッド』の製作スタッフが、傑作映画へのオマージュとしてオレンジを使用したのかもしれない。

・実生活でも伊達男!?

テッドとスカイラーのファーストキスを交わしたのは会社のコピー室だったが、あるインタビューで、“今までキスした場所で、一番不適切な場所はどこですか!?” と、際どい質問をされたクリストファー。

すると、「若かった頃の話だけど、結婚式が始まる前に花嫁にキスしたことがあるんだ。彼女の結婚は3カ月しか続かなかったんだけど、ウェディングドレスを着てるのに、僕にキスするぐらいだから続かなくて当然だね」とブッ飛びな答えをカマし、昔は彼自身も伊達男だった様子をうかがわせている。

・出演する前から『ブレイキング・バッド』の大ファン

現在55歳のクリストファーは、26歳から俳優のキャリアをスタートさせたベテランだ。今まで数多くの作品に出演している彼だが、普段ほとんどテレビを見ないので、自分の出演作品さえチェックしないそう。けれども『ブレイキング・バッド』だけは別格で、シーズン2で参加する前からの大ファンだったと語っている。

そして彼の一番好きな映画は、我が国が誇る名匠、黒澤明監督の『乱』だそうだ。

とにかくクリストファーは、今まで色んなドラマで目にしたことがある俳優だ。ハンサムだが、どこかしら凡庸さをにじませる容貌が、際立ちはしないが不可欠な脇役としてのポジションを確保し続けてる理由ではないかと思う。

参照元:IMDbBreaking Bad Wiki、AMC[1][2](英語)
執筆:Nekolas
イラスト: マミヤ狂四郎

▼テッドが首を折るシーンで、オレンジが効果的に使われている

▼スカイラーがテッドの誕生パーティーで歌うシーン

▼『ゴッドファーザー』でヴィトー・コルレオーネが死ぬシーンにオレンジが登場!

▼『ゴッドファーザー』でオレンジが登場する総集編動画はこちら

▼『ブレイキング・バッド』シーズン1の予告編はこちら

▼ぬりえもあるぞ
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