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人類火星移住計画『マーズワン』。2024年から、「地球には帰ってこない。生涯を火星で暮らす」という固い決意を胸にした、選ばれし人類が地球を旅立つ予定となっている。

しかし火星に出発する人々は、その後の人生をどう考えているのだろうか? 火星に行っても人生は続く。恋愛、結婚、子育てだってしたいだろう。ということで今回は、「私、火星で子供を産みます!」と公言している『マーズワン』候補者の女性を紹介したい。

・「無謀だ」と言われても火星に抱く思い

これまでにも、「無謀だ!」「自殺行為だ」など、数々な反論を受けてきた『マーズワン』。しかし彼らは、ひるむことなく計画を続けており、2015年から2024年まで、地球上でのトレーニング。2018年には、火星での無人デモンストレーションを予定している。

・「火星で子供を産みます!」

そして2024年には、最初の4人を火星に送って、その後2年ごとに4人ずつ送っていくというのだ。「人類初の永住地を火星に作る」との目標を掲げていることから、地球に帰還する手段は用意されていない。一度火星に降り立った人々は、そこで残りの人生を終えることになるのだ。

ということは火星移住者たちは、火星の上で恋愛して、結婚して、家族を築きながら、コロニーを拡大していくことになるのだろう。そして、2015年2月9日現在、660人にまで絞られた候補者の中に、「私、火星で子供を産みます!」と宣言している女性がいるのである。

・この世で初めての火星人?

それが、英バーミンガム大学で天体物理学の博士課程に在籍している、マギー・リュウさん24才。もしも最終選考に残り、火星行きの24~40人に選ばれたら、是非とも火星で子供を産みたいと話しているのだ。

「火星で子供が生まれれば、この世で初めての “火星人” が誕生するわけです! きっと面白いことですよね。火星だからって、育児環境も人間関係も地球と大した違いはないと思うんですよ」とリュウさんは話している。

・火星の重力で本当に子どもが産めるのか?

しかし、以前から「火星での妊娠・出産」に対して、懸念する声は聞かれてきた。例えば、地球の約3分の1ほどしかない、火星の重力だ。これまで、だれも低重力の環境下で妊娠・出産した人はいないので、どのような問題が発生するか分かっていないのである。

この点はリュウさんも、「難しいこともあると思います」と認めている。また『マーズワン』側も、まずは動物実験を行って、検証したいとしている。

・宇宙放射線が降り注ぐ火星で子育て?

他にも、人体に悪影響を及ぼす宇宙放射線の存在がある。地球では大気が、宇宙放射線から人類を守っていると考えられているが、火星の大気は地球の0.7%ほどとかなり薄い。その上、地球のような強い磁場もないので、火星には宇宙放射線が降り注ぐ……そんな環境で、赤ちゃんが無事に育つのかも疑問視されているのだ。

このことに関しても、リュウさんには考えがあるようだ。「確かに、火星の宇宙放射線量はとても高いでしょう。人類の住める星に改造する “テラフォーミング” をしたとしても、何千年もかかってしまいます。解決方法として、火星の地面の下で暮らせばいいのではないでしょうか」と語っている。

・2015年2月16日に第2次選考の結果が発表される

さて、リュウさんが火星で子供を産むには、火星に行かなければならないが、彼女はまだ最終選考には残っていない。2015年2月16日には、2次選考の審査結果が発表されることになっているので、まずはそこを突破する必要があるのだ。

審査に通ったとしても、本当に火星の上で妊娠・出産することができるのだろうか? なにより『マーズワン』は成功するのだろうか? など様々な疑問も残るが、未来はいつだって想像の斜め一歩前を行く。どうなることか楽しみだ!

参照元:Coventry Telegraph、Mars One [1][2]Space.com YouTube(英語) 日経サイエンス
執筆:小千谷サチ

▼『マーズワン』計画の概要

▼火星移住への思いを語るリュウさん