BETTER CALL SAUL

映画とドラマの大きな違いは、ストーリーの中で登場人物が大きく変貌を遂げたり、時間をかけることでキャラクターに深みを持たせることができる点だ。なので、最初は好きではなかったキャラが、シリーズ終盤辺りでは大ファンになっていたりすることがある。

そこで今回は、最初は超~うさん臭いけど、実は顧客に絶対の忠誠心を尽くし、ここぞ! という時にお助けマンのように窮地を救ってくれる、悪徳弁護士ソウル・グッドマンを演じたボブ・オデンカークの素顔に迫ってみたい。言うまでもなく海外ドラマ『ブレイキング・バッド』の登場人物で、個人的に筆者が一番好きなキャラクターである。

・ソウルはヘビーなストーリーのオアシス的な存在

名残惜しげにハゲかけた髪を八二分けにし、趣味の悪い派手なスーツを身にまとったソウル・グッドマン。そんな彼と対面したら、それなりに人生経験を積んだ人なら、誰でも「コイツに弁護を依頼するのはマズいんじゃないか?」と感じてしまうだろう。

だが、温厚な化学教師ウォルターがドラッグ精製に手を染め爆走し、家族との葛藤や絆がヘビーに描かれるストーリーで、ソウルは一種の癒し的な存在だ。彼が登場するシーンはなぜか緊張感がゆるみ、彼の喋りや行動は常に笑いを誘うからだ。それもそのはず! もともとボブはコメディ畑出身で、脚本家として笑いを生み出す側にいたのである。

・俳優になる前は脚本家だった!

地元シカゴのラジオ局でコメディ番組の台本を執筆してたボブは、1987年に米人気コメディ番組『サタデー・ナイト・ライブ』に脚本家として雇われたことで、大きな転機を迎える。

同番組のシーズン13~20まで脚本を務めた彼は、米テレビ界最高峰エミー賞で脚本賞を受賞。その後、脚本家として参加した番組『The Dennis Miller Show』に出演したことがきっかけで、俳優のキャリアをスタートさせることとなったのだ。

・ソウルの役作りで参考にしたのは敏腕芸能エージェント

しかし俳優デビューを飾ったものの、『ブレイキング・バッド』出演前の目立った経歴は、人気コメディドラマ『ママと恋に落ちるまで』と『アントラージュ★オレたちのハリウッド』へのゲスト出演程度。

ソウル・グッドマン役で大きな注目を集めたボブが、ソウルの役作りをするうえで参考にした人物は、ハリウッドの芸能エージェント、ロバート・エヴァンスとアリ・エマニュエルだそう。特にアリは、『アントラージュ★オレたちのハリウッド』に登場する敏腕芸能エージェント、アリ・ゴールドのモデルにもなった人物だ。

事務所の所属俳優に役をゲットさせるためなら、どんな手段もいとわないアリと、金のためなら悪事に手を染めることも平気なソウルには、確かに大きな共通点を見出せる。腹黒いんだけど、何だか憎めないソウル像を絶妙に作り上げたボブの俳優としての力量は、脚本家としてキャラクターを練り上げる作業でつちかってきたものではないだろうか。

・ソウルが『ブレイキング・バッド』スピンオフ版の主役に!!

そして、ソウルを語るうえで外せないのが、『ブレイキング・バッド』の前編となるスピンオフ版『Better Call Saul』だ。ソウルが弁護士事務所のテレビCMで使っていたキャッチフレーズ “Better Call Saul(ソウルに電話を!)” をタイトルに冠しているが、本作でボブが演じるのは、ソウルの本名ジミー・マクギルだ。

ジミーが、ソウルと名乗るようになるまでの経緯が描かれるわけだが、スピンオフには、“フィクサー” マイク・エルマントラウト役を演じたジョナサン・バンクスも同役で登場する。一体どんなストーリーが展開されるのか、今から気になって仕方がない。

・ソウルの弁護士事務所の電話番号は実際に存在する!

ちなみに、ドラマ中に出てくるソウルの弁護士事務所の電話番号「(505)503-4455」は本物で、電話をかけたら実際にソウルの声が自動音声で再生される。だが無料通話ではないので、電話をかけたら通話料金をしっかり取られてしまう。もちろん海外の電話番号なので、日本から電話する時には国際電話扱いになるので要注意。

・末期癌の少年がストーリーに影響を与える

シリーズが始まってからクリエイターのヴィンス・ギリガンは、16歳の末期癌(がん)の少年ケヴィン・コーダスコ君の両親から連絡を受けた。末期癌を患う主役ウォルターに共感しているというケヴィン君を励ますために、ボブとギリガン、ブライアン・クランストン(ウォルター役)とアンナ・ガン(スカイラー役)が遠方から彼の自宅を訪れ、お見舞いしたのだ。

その際、ケヴィン君はギリガンに、ウォルターとグレイマター社を設立したエリオット・シュヴァルツと彼の妻グレッチェンとの関係を深く掘り下げて欲しいと頼んだという。エリオットは共同創設者のウォルターから会社を乗っ取った人物で、ウォルターの元恋人であるグレッチェンと共に、ウォルターとは複雑な関係にある。

こうしてシリーズ最終章となるシーズン5で、ウォルターとエリオット、グレッチェンの間に何が起こったのかが明かされることになるのだ。シーズン5の第9話は、ストーリー展開に影響を与えたケヴィン君に捧げられ、エピソードの最期にはテロップも流れている。

『Better Call Saul』は、アメリカで2015年2月8日から、AMC局にて放送スタートする。今でも熱狂冷めやらない『ブレイキング・バッド』ファンにとって、これほど嬉しいプレゼントはないのでないだろうか。早く日本にも上陸することを願いつつ、今度はスピンオフ版のキャラの素顔に迫れたらと思う。

参照元:IMDbBreaking Bad WikiAMCThe Telegraph(英語)
執筆:Nekolas
イラスト: マミヤ狂四郎

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