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岩手県盛岡市にはさまざまな名物が存在する。わんこそば・じゃじゃ麺と並んで「三大麺」と呼ばれるもののひとつに、盛岡冷麺がある。1950年代に朝鮮半島北部出身の人が焼肉店で提供していた冷麺が、そのはじまりとされている。現在は多くの店舗で冷麺を提供しており、土産物の定番と化している。

その盛岡冷麺の進化形を発見した! その名も「焼き冷麺」である!! おい、ちょっと待て! 焼いたら “冷” 麺じゃないだろ。焼き麺、つまり焼そばみたいなものじゃないのか? ということで実際に食べてみたところ、これが今まで食べたことのない食感であることが判明した。しかもクセになるウマさ。これは盛岡の新定番になるで~。

・焼いたら冷麺じゃない!?

この斬新メニューを提供しているのは、盛岡市の繁華街、盛岡大通に店を構える「遊食屋FUJI」である。このお店の前を通りかかったときに、表の品書きに思わず目を奪われてしまった。焼き冷麺だと? 冷麺は冷たいから「冷麺」と名付けられているのではないのか? 焼いたら当然温かくなるはず。つまり温麺になってしまうと思うのだが……。もしや焼いてから、冷やすのか? とにかく食べてみるしかない。

・揚げ冷麺もあった!

店内は洋風居酒屋風の造りで、割とモダンな感じ。表に掲げられていたメニューだけでなく、アルコール類もフード類も大変充実している。私(佐藤)は迷わず、焼き冷麺をオーダーしようと思ったら……。「海鮮揚げ冷麺」というものまであるじゃないか! これは確実に温麺だろ、ホットだろ! どう考えても “冷” ではないじゃないか。これはもう食べ比べてみるしかない。ということで、普通の冷麺と、焼き冷麺と揚げ冷麺の3種類を注文した。

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・これがスタンダード

まずは普通の冷麺。これはどこででも食べられる一般的な味。あっさりとした出汁にコシの強い麺。これがトッピングのキムチと良く合い、酢を加えると酸味がきいて大変おいしい。これぞ盛岡冷麺というスタンダードな味である。

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・ミュイーン! と伸びる揚げ冷麺

次に揚げ冷麺。これが想像を凌駕する代物だった! 盛岡冷麺は強いコシが特徴である。それを油で加熱すると、どうなるか……。表面はカリカリで他の麺類を同じような状態になるのだが、なんと中に芯が残り、これがミュイーン! と伸びるのである。あえて例えるなら、パスタのアルデンテのような感じ。それがミュイーン! と伸びる様子を想像して欲しい。こんな食感初めてだ。非常に面白い変化である。

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・歯切れの良い焼き冷麺

最後に大本命の焼き冷麺である。加熱すると思わぬ変化が起きることはわかった。冷麺を焼くとどうなるのかというと……こちらはミュイーン! とは伸びない。意外にも歯切れが良く、3種のなかでは一番食べ易かった。しかも出汁の加減が3種のなかでもっとも良い。ちなみに3つの料理ともに、出汁は同じものを使用しており、食べ方によって、その希釈を変えているのだとか。同じものを使っても、これほど味が極端に変化するとは、驚きである。

トッピングの卵黄を麺にしっかり絡めると、まるでカルボナーラのようなまろやかな味に変化した。何という表情豊かな変化だろうか。

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・偶然の産物

お店のマスターの話しでは、焼き冷麺は偶然の産物だったそうである。あまった麺を興味本位で焼いてみたところ、食感の変化に気付き、メニュー化したそうだ。これは盛岡の新定番になるかもしれない。まだ挑戦したことがないという人は、ぜひ一度チャレンジして欲しい。食感の違いに驚くはずである。

・今回訪問した店舗の情報

店名:遊食屋 FUJI
住所:岩手県盛岡市大通2-4-16 藤原ビル 2F
営業時間:17:30~05:00
定休日:日曜日

Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

▼こちらはスタンダードな盛岡冷麺
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▼そしてこちらが、海鮮揚げ冷麺。あんかけで温かいから温麺? 表面はパリパリなのに、芯があってミュイーン! と伸びる
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▼そして焼き冷麺。3種のなかで一番食べ易く、クセになる味
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