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最近よくブラック企業の問題が取り上げられているが、「編集プロダクション」には、間違いなく “ブラックな会社” が多いと言えるだろう。長時間労働、安い給料、高い離職率……。もちろん、全ての編集プロダクションがそうではないが、ブラックと言われてもおかしくない会社が多いのは事実である。

そこで今回は、そんな編集プロダクションのなかでも特にブラックな傾向が強い会社を、個人的な体験を交えながら「あるある」という形でお届けしたい。題して、『入社後3年以内にほぼ全員が辞める「編集プロダクション」にありがちなこと50連発』だ。

【入社後3年以内にほぼ全員が辞める「編集プロダクション」にありがちなこと50連発】

その01:超ワンマン経営。
その02:当たり前のように行われる徹夜作業。
その03:ゴミ箱には、眠眠打破の空き瓶がどっさり。
その04:会社にマイ寝袋があり、頻繁に使用するため相当臭い。
その05:残業が多過ぎて、時給を計算したら500円を切る月がある。
その06:残業時間が200時間を越える月は幻聴が聞こえる。
その07:たまに、仕事中に倒れる人がいる。
その08:初めて倒れる人を見ると、「この人、大丈夫か!?」と焦りまくる。
その09:しかし、社長は全く焦っていない。
その10:社長「大丈夫、よくある。とりあえず水持ってこい」
その11:“頬たたき&水ぶっかけ” という社長の荒療治で、不思議と蘇生する。
その12:倒れた人は、ちょっと休んでそのまま作業続行。
その13:病院に行かずそのまま働くことに、二重の驚き。
その14:このような環境のため、辞める人が絶えない。
その15:だから頻繁に求人を出している。
その16:転職サイトには、「少数精鋭」「やる気を評価」などの言葉が、悲しく踊っている。
その17:辞める人が多いから必然に少人数になってしまうだけなのに、少数精鋭とは……。その強引な言い回しに、一抹の悲しさを感じずにはいられない。
その18:それ以上に悲しいのは、社内の仕事風景の写真。
その19:笑顔で楽しそうに働いている写真は、現実と違いすぎる。
その20:それはもはや、「盛っている」というより「詐欺」の域。
その21:「アットホームな職場です」というキャプションには、罪悪感さえ感じる。
その22:入社した全員にとって、「求人サイトと全然違う!」と気づいた時が、いわば最初の試練。“会社を辞めたい” という感情の第一波が打ち寄せてくる。
その23:その第一波で、多くの人が、会社を去っていく。
その24:新人が辞める度に、社長は「これだからゆとり世代は……」などと言い、会社に問題があるとは絶対に考えない。
その25:第一波に耐えると、社長の人格という第二波が待っている。これもなかなかのビッグウェーブ。
その26:社長は、機嫌が悪ければ、必要経費の領収書を受け取らない。
その27:そのくせ、美人の女性スタッフには激アマ。何でも出す。
その28:おまけに美人スタッフがどんな仕事をしても、ベタ誉めする。
その29:社長は、お気に入りの女性スタッフに自分が好かれたいのか、「こんな女の子でも頑張っているのに、お前らなんだ」と説教し出す。マジ、ウゼーーー!
その30:酷いときは、お気に入りの女性社員を持ち上げるため、男性社員の誰かを標的にして、おとしめる。本当に勘弁してほしい。
その31:社長は、女性にとる態度、及び振る仕事を完全に相手の顔で決めるため、女性同士の人間関係にもヒビを入れる。
その32:これだけクセがあるくせに、仕事は超適当。
その33:クライアントに「原稿、良かったです」と誉められると、「私が全部チェックして直してますから」と担当者の手柄を全部横取りする。
その34:だけど、実際に社長はほぼ何もしていない。
その35:クライアントにダメ出しされると「すみません。私がチェックする前に、担当者が勝手に納品しちゃいまして」と、責任を担当者に押し付ける。
その36:担当者が、「社長がOKしたじゃないですか!」と反論すると、「担当者はお前やろ! 早く謝ってこい」と、ムチャクチャ言う。
その37:こんな社長と長く付き合っているカメラマンは、マジでクソ。
その38:笑けるくらいにクソ。
その39:そのカメラマンと長期の取材に行く時は、地獄。
その40:自分だけでなく、取材先の関係者など、接する全ての人に対して態度が横柄。
その41:「この光じゃ撮れねえ、この角度じゃ撮れねえ」など、注文がやたらと多い。
その42:なのに出来上がった写真を見ると、ピンボケ。
その43:こんなカメラマンや社長のことを、社内の人は全員大っ嫌い。
その44:社長とカメラマンの悪口は、社内最大の鉄板トーク。
その45:このような会話で同僚と仲良くなると、ほぼ決まって「実は、会社を辞めようと思ってる」と打ち明けられる。
その46:「え、俺も辞めようと思ってるんやけど!」「ウソ、お前も!?」と異様に盛り上がる。
その47:会社をいつ辞めるかという相談をしていると、それだけで希望の光が見えるような気がする。
その48:そんな相談をしている仲間の1人が、「辞めるんだったら、もうみんなで辞めない?」と言い出した時……第三波がやってくる。
その49:第三波に飲まれるのは、かなり気持ちいい。まるでサーフィンだ。
その50:こうして、第一波・第二波・第三波により、ほぼ全員が3年以内に退社する。

──以上である。

いかがだっただろうか。かなり個人的な体験が含まれていたが、私の経験した「入社後3年以内の離職率が100%の編集プロダクション」の雰囲気は、大体こんな感じである。その空気感が伝われば幸いだ。

なお繰り返しになるが、全ての編集プロダクションが上記のようではない。あくまでも、一部。きっと、ごく一部であると信じている……。

執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.