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宇宙での生活を目指す「宇宙移住計画」。2023年には、片道切符で火星に行く「火星移住計画」が実行予定だったりと、何かと好奇心をくすぐられる。しかし、地球とは全く異なった環境の宇宙で暮らすことが、本当に可能なのだろうか?

この問いに「イエス」と答えたのが、NASAで働くアル・グロブスさんだ。というのも、地球の軌道に街を作って、今と同じように暮らすことができるというのだ!

・地球の軌道に住もう!

今回、地球の軌道に、多くの人が暮らす都市を建設する『スペースコロニー構想』を主張したのが、NASAのエイムズ研究センターで働くグロブスさん。英メディア Mail Online が行ったインタビューに対して、「実現するかどうかは分からないけれど、いつかは地球の軌道に住むことは絶対に可能になる」と強気な姿勢を見せたのである。

・地球に近いことがメリット

もし私たちが覚悟を決め、全人類の英知、経済力を結集させれば、今世紀末までには実現可能であるというこの案。

地球から高度350 km~1400 kmの低軌道にコロニーを持ってくることは、月や火星に移住するよりも採掘などの手間が省ける上に、距離も近いので物質の輸送も簡単だというのだ。ちなみにこの計画は1970年から、既に提唱されているという。

・どんな生活になるのか?

さて、気になるのがどんな生活になるかということだ。せっかく宇宙に暮らすようになっても、ずっと宇宙服を着なければならなかったり、宇宙食ばかりというのも、ちょっと心そそられない。

しかし軌道上でも、今の私たちが送っているような生活を楽しめるということなので、ご心配なく。農作物を育てることもできるし、もちろん子育てだって可能。家族でお誕生日やクリスマスの行事を祝ったりする “普通” の日々が待っているのだ。

・デザインはどうなるか?

そして、デザインも気になるところ。コロニーは、地球から重力の影響を受ける軌道を回ることになるが、その内部は重力から開放される。そこで、コロニー自体がグルグル回って人工的に重力を発生させる必要があるというのだ。また、外面に太陽光発電パネルを設置し、エネルギーを生産することもできるという。

・最大の難関は費用

残念ながら、そんな夢に大きく立ちはだかるのが “お金” だ。どうやら、宇宙移住を実現させるためには多大なコストがかかるようで、グロブスさんも「まず費用面で実現不可能」と認めている。しかし、費用の問題を克服する方法が1つだけあると、彼は語っているのだ。

「それは、全人類があらゆる戦争・戦闘をやめることです。今、軍事に投入されている時間・費用を宇宙移住計画にそのまま使えばいいのです。」

・まずは宇宙観光業を発展させるのが現実的

また、コスト面だけでなく、技術的にも実現には時期尚早であるという。そこでグロブスさんは、「宇宙観光業」がこのまま発展していけば、いずれは移住にシフトできるのではないかと見ているようだ。

現在、様々な企業が宇宙旅行サービスに着手している上に、宇宙ホテルや気球に乗って格安で宇宙に行く計画なども持ち上がっている。確かに、宇宙観光業はなかなか活発なようだ。

・「それなら戦争やめて地球に住みたい」とのネットの声も……

こうやって彼の意見を聞いていると、『スペースコロニー構想』は大きな夢を秘めているように感じられるのだが、ネットの反応はちょっと違う。

ネット上では、先述のグロブスさんの「戦争をやめれば……」という言葉に反応し、「戦争を止めれば、宇宙なんかに行かなくてすむ」「今戦争をしている人たちを、地球軌道に移住させてしまえばいい」などといった意見が多く見受けられたのだった。

美しく魅力的な宇宙。もちろん、今後どこまで私たちが宇宙を探索できるのか、楽しみでもある。しかし、今住んでいる地球だって、本当に魅力的な場所なのだ。もしかしたら、宇宙で在りし日の地球を懐かしむ未来よりも、地球で宇宙の夢を見ている現在の方が幸せなのかもしれない……。

イラスト:NASA Ames Research Center.
参照元: Mail OnlineNASA Ames Research Center(英語)
執筆:小千谷サチ

▼70年代に描かれた想像図。う〜ん、こんな世界に暮らしてみたいのも確かだ。
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イラスト:NASA Ames Research Center.