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東京・目黒でとんかつを食べたくなったら、避けては通れない究極至高の名店がある。その名も「とんき」。創業は昭和14年。74年もの歴史をもつ、老舗中の老舗とんかつ店だ。熱烈ファンも数多い。

一体なぜ目黒の「とんき」が古くから人気なのか。その答えは、完成され尽くした “味” もさることながら、国宝レベルの職人技を目の前で鑑賞できる “場” の雰囲気にもあるだろう。

・広い厨房を取り囲むカウンター席
店に入ると、まず目に入るのが広い広いカウンター席だ。というか1階は全席カウンター。清潔かつ、余裕を持った広さの厨房を、コの字に取り囲んでいるカウンター席には、ひきしまった空気が流れている。

・職人たちのプロフェッショナルな仕事が観察できる
そのカウンターに座ると、厨房内で働く職人たちの動きが観察できる。とんかつを揚げる専門の職人、とんかつをザクザクと切る専門の職人、注文をとる専門の職人……と、様々な職人たちがいるのだが、彼らの動きはまさしくプロ。

・まるで「とんかつ劇場」
特に注目したいのは、とんかつを切る専門の職人さんだ。おそらくこの道ウン十年以上。一分の無駄もない “カッティング” の動きは必見のひとこと。見ているだけで飽きないのだ。まるで「とんかつ劇場」である。

・かつ、ごはん、お新香……全てが美味い!
そんなこんなで注文していた「ロースかつ」と「ヒレかつ」が出来上がった。付け合せはキャベツとトマトとパセリのみ。あとは “想像以上にピリリと辛い” からしが付いている。そして、ご飯と豚汁とお新香。これにて価格は1800円だが、決して高いとは思えない。なぜならば、それら全てが美味いからだ!

・大切に大切に肉を包み込んでいる
とりわけ注目したいのが、当然ながら とんかつ の美味さ。実にジューシーかつ、ウマミたっぷりの上質な肉が使われているのは当然だとしても、特筆すべきは とんき ならではの「クリスピーな衣」である。上質な肉を、上質な衣が大切に大切に包み込んでいるのだ。

・とんきの衣を何かに例えるならば
この衣のスゴさを何かに例えるとしたら……普通のとんかつが「ふにゃふにゃなスポーツバッグ」なのに対し、とんきのとんかつは「衝撃にも耐えるキャリーバッグ」のような感じなのだ。確かなカバーがそこにある。そして、そのカバーに歴史と職人技が詰まっている。

・微妙な「十字切り」に注目
また、とんかつの「切り方」にも注目したい。通常のとんかつは、だいたいがタテに切られている。しかし、とんきのとんかつは、そのタテ切りに加えて、一本ヨコ切りが入っている。しかも真ん中にヨコ切りするのではなく、微妙に比率を変えて切っているのだ。

・食べるときの「戦略」が楽しめる
もしも真ん中の線で切られていたら、同じ大きさのカツを12個食べることになる。しかし、微妙に比率が変わっているので、「やや大きい」が6個、「やや小さい」が6個となり、食べていて飽きが来ない。さらに、食べる順番の “戦略” まで楽しめるようになっているのだ。

・ロースかヒレか悩みどころ
ちなみに、ロースもヒレも、どちらも美味い。どちらも美味いからこそ、両方食べたくなってしまう。もしも2人で行くのならば、ロースとヒレを分散させて注文したほうがよいだろう。3人ならば、それに串かつを入れればよい。一生に一度は食べておきたいとんかつ、それが目黒「とんき」のかつである。

■お店データ『とんかつとんき』
住所:東京都目黒区下目黒1-1-2
営業時間:16:00~22:45
定休日:火曜・第3月曜

Report:GO羽鳥

▼微妙に中心をズラした切り方に注目
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▼すべてがおいしい!
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